素敵な勘違い 「伊作兄さん」 「茜?どうしたの?」 桃色の制服に身を包んでひょこりと医務室に顔を出したのは可愛い妹の茜 僕は笑顔で茜を迎え入れると、お茶を入れるべくと立ち上がろうとした・・・・のをやんわりと茜に止められた 「茜?」 「伊作兄さんは座ってて?私がやるから」 そこに広げてある薬草にかけたら大変でしょう?と言って茜が立ち上がった 茜は僕と容姿や性格は似ている けれど似ていないところがある それは不運の差だ 知っての通り、僕は不運 でも、茜は不運でも何でもない よく留さんに「足して2で割ったら丁度良いんじゃないか?」と言われてるほど 「兄さん、お茶入れたよ」 ことり、と小さな音を立てて、茜が僕の前に湯のみを置いた ありがとうとお礼を言えば、兄さんのためだもの、気にしないで、と茜は笑った そうして少し息をついてから、茜があのね、と話を切り出した 「実は・・・とても気になってる事があって・・・その・・・妊娠をしてるかもしれないの」 その言葉に、ピシッと僕は固まった 妊娠?え、なに、留さんはらませたの?僕の可愛い妹に?! 僕はすくりと立ち上がった 不思議そうな顔で兄さん?と見上げてくる茜に、僕はにっこりと笑うと、ちょっと待っててねと言って医務室を出ようとした 「おーい、伊作いるか?」 「あ!留さん!丁度良いところに!」 「お?なんだ?」 す、と障子が開いて顔を覗かせた留さん 僕はにこーっと笑うと、留さんを思いっきり殴った 「に、兄さんっ!?留三郎さんしっかり!」 「お兄ちゃんはそんな軽い男とのお付き合いは認めません!」 「か、軽いって・・・兄さん、留三郎さんはそんな方じゃないことは兄さんがよくしってるじゃない!」 留さんに近寄って大丈夫かと声をかけている茜は、いつもと変わりなくて、あれ?と僕は首を傾げた 「いてぇ・・・」 「ごめんなさい、兄さんが・・・」 「悪いなぁとは思うけど謝る気無いからねっ」 だっていつかやるしっ、と思いながら、僕は茜に事情を聞くべく話しかけた 「結局、どういうことなの?」 「それは俺も聞きたいな、何があったんだ?」 「実は生物委員会の狼さんが妊娠したみたいなの。竹谷くんと確認しようかって話をしてて、一度で終わらせた方がいいから兄さんに聞いた方が早いかなって・・・」 がくり、と留さんと僕はこけた 茜らしいと言えばそこまでだけど・・・ 僕らは座り直すと、疑問符を飛ばす雪斗に笑った 「わかった、じゃあ今度その狼見にいくよ」 「ありがとう、伊作兄さん」 安心したように笑う茜に、隣で留さんがちょっと顔を赤くしてたので、ぼそりと一言 「まぁ、いくら留さんが茜の恋人だからってそんな直ぐに良いようにさせてあげないけどね」 留さんがばっとこっちを向いたけど、僕は意味ありげににこりと笑うだけだった 素敵な勘違い ――――― 絵を頂いた御礼&相互記念で斎藤様に捧げさせていただきます 6はのわりに留と絡んでおりませんがこんなのでよろしければお持ち帰りください 記念絵本当にどうもありがとうございました! 斎藤様のみお持ち帰り可です 戻 |