もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

02.君の「大丈夫」は信じない






忍務の最中、私は囲まれていた
手練れと思われる忍が5人
対して、私は1人
・・・頑張っても、相打ちが良いところ
それすら危うい
・・・まだやりたいこと有ったのにな


「その懐の書簡、渡して貰おうか」
「書簡・・・?何のこと?」


私はそう言って訝しげな顔をした
・・・バレてる?けど、確信があるわけじゃないみたいね


「おまえが持っているんだろう、大人しく渡せば穏便に終わる」
「知らないって、書簡って何よ・・・」


苛立った気配が一瞬あった
・・・もうすこし?感情を乱すなんてまだまだね
それでも不利なことには変わりない
どうにか・・・!
木の陰に、忍たまを見つけた
・・・どうにかできる、きっとあの忍たまは加勢してくれるから
私は笑った


「とりあえず、訳わかんないから帰らせてよ」
「とぼけるなら、力ずくで調べるまで!」


きいんとクナイが合わさる音がした
そして聞こえる、私以外の金属音




しばらくの攻防の後、闇の中に立つのは、2人
私と、加勢してくれた忍たま
私はくるり回ってと忍たまをみれば、その忍たまは豆腐小僧と有名な彼


「久々知、ありがとう」
「危なそうだったから、よかったよ」
そう言って笑った久々知
私はその姿に少しの違和感を覚えた
そして気づく
彼のさりげなく後ろに回された腕に


「久々知」
「・・・?どうかしたか、空峰」

私は名前を呼ばれ、不思議そうに聞き返してきた久々知の腕を掴んだ
久々知が一瞬顔をしかめる
私はやっぱり、と呟いた


「手当てするから、少し待って」
「大丈夫だよ、酷くないからさ」


心配させないようになのか笑う彼に、私はお構い無しに手当てを開始した


「っ、茜・・・」
「今度から久々知の"大丈夫"は信用しないことにするわ。それに・・・助けてもらったんだもの、これくらいさせてよ」
「―――・・・わかった、ありがとう、な」





君の「大丈夫」は信じない






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【title by】青い如雨露