もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

01.愛があれば許されます






「っひ・・・!」


ペロリと首筋を舐められた感覚に、私は悲鳴を上げた
後ろでくつりと笑う声


「相変わらず面白いな、茜は」


聞こえてきた声に、私はぞわりと鳥肌が立つ
腕が腰に回ったのが分かって、私の肩が跳ねた


「っぁ・・・はちや・・・やめっ・・・」
「敏感だから反応がおもしろいし、止められないな」


笑う声はいつもからかいを含む
私には余裕がないのに、鉢屋は余裕を含んだ声でただ私をからかうのは、やっぱり腹が立つものだ
私、これでもくのたまなのにっ

「やだってば・・・っ!」
「いやよいやよも好きの内っていうだろー」
「鉢屋のは、やりすぎ・・・だって、ば!」


私はそう言いながらどうにか鉢屋の腕の中から抜け出した
ぜーはーと肩で息をする


「あぁもうっ!なんでいつも鉢屋はそうやって私に構うのよっ」
「好きだからに決まってるだろ、いい加減に気づけよ」

「っな・・・!」


私は鉢屋の台詞に虚を突かれた
え、なにそれ、どういうこと?
混乱してパニックになっていると、鉢屋は私に近づいてきて・・・え、なに顔近、い・・・
唇に何かが触れた
「愛があるから、別に良いだろ?」


そう言われて、私は口吸いされたのだと気がついた
そしてかあぁっと顔に熱が行く


「っ愛があるから許されるなんて、そんなの認めないんだからあぁぁぁっ!!」


そう言い残して私は長屋に逃げた


え、後の話?
・・・言いくるめられちゃいました、ぐすん・・・
・・・嫌いって訳じゃないからいいけど・・・って、私が鉢屋を好きってわけじゃなくて、鉢屋がしつこいからしかたなくなんだから、ね・・・!
あー、はいはい、私がおまえのこと愛してるからだよ
は、鉢屋いつから・・・っあ、ちょ、やめ・・っ
三郎だって言ってるだろ、全く・・・お仕置きだな!
え、ひ、昼間からはやだっ
じゃぁ夜にたっぷり愛してやるから覚悟しておけよ
っ!?





愛があれば許されます







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【title by】青い如雨露