もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

束縛の言葉


side:勘右衛門(勘右衛門×主)



カチャカチャとなる金属音
そして混じる悲鳴と水音に、おれは笑みを深めた


「気分はどう?雪斗」
「っ・・・最悪、だよ・・・!」


キッと睨みつけるその瞳に、おれは背筋がぞくぞくとした
意志の強いその瞳に映るのは今おれだけ
他の人は誰も映ってない・・・おれだけの、雪斗


「そう、残念・・・おれは凄く気分がいいのに」
「かん、えもんが、よくても・・・俺、は・・・ぁっ!」
「よくないって?分かってるよ、雪斗。だって雪斗のことはおれが一番良く知ってるから」


軽く握っていたソレに力を入れて、おれは雪斗の耳元で囁く

今日雪斗がおれ以外に好きだと言った回数は21回
おれ以外の誰かに触れたのは37回
雪斗がおれを睨んだのは5回
あぁ、また1回増えたね


「ね、何でも知ってるでしょう?」
「かんえ、もん・・・おまえ、狂・・・っひ、ぁ・・・」
「ひってるお」


握っていたソレを躊躇なく口に含んで、おれは雪斗に返事を返した
苦しそうに顔を赤くした雪斗が、やめろと口にする
でもその苦しそうな表情がたまらなくて、おれは目を細めた


「ね、おいひいよ、雪斗」
「いや、だ・・・っ、しゃべるな・・・っ勘!」
「だーめ。・・・でも、勘って呼んでくれたから、ちょっとだけ意地悪しないであげるよ」


そういっておれは、手を動かした
雪斗は嫌がってるけど、その"いや"は"いい"だって分かってるから、やめてなんてあげない
あぁ、でも寸前で止めて、雪斗からおれを求めてくれるようにしようか?


「あ、ぁ・・・ぅ・・・っ」
「気が変わったから、沢山よろこばせてあげるよ」


荒い息を繰り返す雪斗にそう言った






しばらくそうして苛めていれば、雪斗の様子が変わってきた

・・・そろそろ頃合かな・・・



「・・・かんえもん・・・」
「ん、どうしたの?」


これでもかというほど顔を真っ赤にして、まだ羞恥が残ってたんだなとその意志の強さに、おれはさすが雪斗だなーと思った
でもその意思の強さが今回は仇になったよね?
だって、理性をふっ飛ばしちゃえば、楽になれるのに
ソレが雪斗だから、そんな雪斗だからおれは好きなんだけど
ぎりりと歯を食いしばって、言いよどむ雪斗


「・・・勘・・・い、かせて・・・」


どれほどのプライドを捨ててそのセリフを言ったんだろうね?
おれはにこりと笑うと、雪斗の後ろに手を伸ばした


「ぃっ・・・ぁ!」
「ね、気持ちいいでしょ?」


どうせいくなら、一緒にいこうね?
そう笑って、おれは雪斗のイイトコロを探った
少しすれば、高く声を上げた場所を見つけて、おれは笑みを深くして、その身体に繋がった

現実が分からなくなるくらい沢山愛してあげるよ、雪斗


「だから、おれ以外見ないでね」


届いてないだろうその言葉を呟いた






束縛の言葉