もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

時代単位の迷子
どすん!という音が寝室からして、私はピシリと固まった
だって嫌な予感しかしなかったのだ
私は一人暮らしで、誰も部屋にはいないはず
それも聞こえてきたのは寝室で、そこにはこのリビングを通らないと行くことはできない


・・・あぁ、なんて既視感(デジャヴ)・・・
数日前にだって似たことがあったのだ
そのときはすぐに帰すことができたのだけれど、今回だってそういくなんて限らないんだ


私は意を決して扉を開いた
そうしてチャキリと突きつけられる刃物
・・・あぁやっぱりか、なんてそんな言葉がこみ上げた



「あんた何者?どうして俺達を誘拐したの」
「きびきび吐いてもらおうか」


・・・今度は四人かよ・・・
心の中でため息をついた
前も物騒だったけど、今回はいつにも増してやばそう・・・


「むしろ何で落ちてくるのかこっちが聞きたいわよ・・・」


私は両手を上に上げて、そういった
その言い草が気に入らなかったのか、緑の子がさらに刃物・・・これクナイね、それを押し付けてくる
プツっと小さい音が聞こえた気がして、そのすぐ後に何かが首を滴る感触・・・切れたかな・・・


「あのさ、ここ平成って時代なの。あなた達の居た時代よりもずーっと先。卿に入りては卿に従えって言うでしょ・・・刃物、しまってくれないかな」


私何も持ってないし
そういっても警戒は解けそうにない
まあ、忍の子いるし、仕方ないのかな・・・


「とりあえずさ、こっちじゃなくてリビング行こう、リビング。多分そっちのほうが君らの時代になかったものがあふれてるはずだから」


あぁ、警戒解けないみたいだからそれ持ったままで良いよ、と一言言って、私は一歩下がった
そうしてこっち着て、と言う
後ろに居た、私を警戒してた人たちよりも年下の子達は落ち着きなく、警戒もしないでこちらに来た
・・・主従関係なのかな


「oh!スゲーな、見たことないものがたくさんあるぜ」
「こんな不思議なものを見たのは某初めてでござる・・・」


・・・なんか、英語混じってないかな、あの子・・・
・・・気にしないようにしよう、だって飛んできた時点で何でもありだものね・・・!従者二人もしぶしぶといった形でこっちに来た
そうして、部屋の様子を見渡して、向こうとまったく違うものばかりの部屋に、もう諦めたのか、一人はクナイ、もう一人は刀をしまった


「とりあえずさ、さっきも言ったとおり、この時代は平成って言うのよ。あなた達の居た戦国時代よりも何百年も後の未来ね」


もの珍しそうに見渡す子ども二人を横目に、私は従者の二人に話し始めた
二人も、主人である子供二人を気にしながら、私の言葉に耳を傾けてるみたい


「そっちの状況は・・・ええと、名前言ったら分かるかしら、長曽我部元親と毛利元就っていう子が数日前に来たから、知ってるんだけど・・・」
「・・・あの二人数日前に来てるわけ・・・?」
「そうだったのか・・・」
「あぁ、良かった、二人とも知ってるのね、日輪の子と海の男!って感じの子だったんだけど・・・まあ、あの二人は一日っていうか、数時間で戻れたの。だから、あなた達も待ってれば戻れると思うから、時間が来るまでここで過ごしてね」


緑の子ももう一人の・・・なんていうのかな、傷のある子・・・?も、納得してくれたのか、緑の子なんて盛大にため息ついてるし
あ、そういえば、名前聞いてないなー

「私空峰 茜って言うんだけど、あなた達はなんていうの?」
「あぁ・・・すまない、俺は片倉小十郎という。むこうの眼帯を着けていらっしゃる方が主の伊達政宗様だ」
「俺様は猿飛佐助、主はむこうの赤い子で、真田幸村だよ」



私は二人によろしく、と言うと、キッチンに向かった
何を隠そう、お昼がまだだったんだよね
なんかちょっと遅くなったけどお昼ご飯食べようかと思って・・・あ


「ねえ、片倉さんたち、毒入ってないとかそういうの気にするようなら、私のご飯作るがてら、今キッチン・・・台所の使い方教えるけど・・・」
「すまないな、教えてもらえるか?」
「俺様も知りたいかなー」
「そ?じゃあ説明しながら作るから、見えるところまで来てくれると嬉しいかな」





時代単位の迷子
(っていうか、なじむの早すぎよね)



――――――
黒狐様
わー・・・あの、すみません、小十郎って言われたのに小十郎夢じゃない・・・;こんなんでよろしければお持ち帰りください・・・;
もし不満でしたら書き直しますのでその際はご連絡ください
相互感謝、ありがとうございますっ
遅くなりまして本当に申し訳ありませんでした