もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

不運委員会の幸運要員


「あれ・・・雪斗?どうしたの?」
「あ、伊作先輩」

僕の前で笑うのは5年い組の保健委員 空峰 雪斗
不運委員に居るのに不運じゃないとある意味評判の人物だ
僕ら保健委員も、彼と一緒に居るときはいつもより不運が少ないし、正直大事な用事があるときは雪斗を連れて行け!っていうのはちょっとした決まりごとだ
その雪斗は6年の長屋の屋根の上で寝ころがっていた

「気持ちいいんですよー、屋根の上って」

伊作先輩も来ません?と声をかけられたけど、生憎とこれから授業があって付き合えそうになかった
それに、わざわざ6年生の長屋の屋根の上である必要性がわからないんだけど・・・
ん・・・あれ?

「雪斗、授業は・・・?」
「次の授業はお休みで・・・「な、わけないだろ!」あ、兵助」

居ないと思ったら6年の長屋とか・・・探したんだからな、と説教に近いことを言われている雪斗だったけど、なんだかほけほけしてて本当に聞いてるのか分からない
まあ、それが雪斗なんだけど・・・
久々知も諦めたのか、一つため息をついて雪斗の首根っこをつかんだ


「すみません、ご迷惑おかけしました」「気にしないで、授業がんばってね」


久々知はぺこと頭をさげると、いくぞ、と声をかけて雪斗を引っ張っていった
雪斗は久々知に引っ張られながら、いつもの笑顔で手を振っているので、返してあげた

・・・今度久々知にお団子でも買ってあげようかな・・・



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