もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

あたたかな灯
「こたろうさま!」

にこにこと笑い俺の前に座るのは、氏政様の姪、茜姫
氏政様に頼まれてほしいと言われ、引き受けたものの、何をすればよいのか分からず、やりたいようにさせれば良いかと思っていたのだが・・・
茜姫はなぜか俺にくっつきたがった
・・・何故だ?俺は血を大量に浴びてきた陰のものだというのに
子供は陽のものだ、忍の一族でもない限り、進んで陰になど近づかない
それなのに・・・


「こたろうさま?」


茜姫は俺を覗き込み、こてん、と首をかしげた


「こたろうさまはかなしいの?」
「(・・・・?)」


悲しい・・・それはどういうことなのか
茜姫はなにを思ったか、俺に手を伸ばすと


ぽふっ


「こたろうさまのかみのけは、サラサラしてるのね」


髪をなでて子供らしくにこりと笑った
いつもならば触らせることなどないのだが、氏政様の姪御ならばとぐっと我慢する


「こたろうさま、あのね―――」




ひとはみちに迷ったら"まいご"なの
それがどんなみちだろうと、まよったらそれは"まいご"なの
こたろうさまも、きっと"まいご"だったのね
おじいさまはきっとこたろうさまがだいすきだから、こたろうさまもおじいさまをだいすきになってね
そうすればきっと、こたろうさまはまいごじゃないのよ―――


迷子が何だと言うのか
だからなんだというのか、そう思いはしたが
心の端で、あぁ、そうかと思う俺が居た
氏政様はただの傭兵である俺にでも他と変わらぬように扱ってくれる
今まではただの道具であった俺が、確かに人として扱われ、そのように振舞うことができるということは



あたたかな灯
(気づかせたのは、ただの幼子だった)


――――――――――――
とりあえず先にお誕生日用として贈らせていただきます
リクの風魔小太郎お相手小説
こたってどうすればいいのか謎で「こた・・氏政に仕えてる・・・どうすればいい?(ひらめく)あ、姪っ子設定でいーじゃん、幼女だけど!←」という思考が・・・・
・・・ただの幼子好きですね、私・・・まあ、小さい子はかわいいなぁって思いますけど
見ててほわほわして癒されますよね・・・あ、現実はただうるさいだけですので好きじゃないですがw

そして内容的解説みたいな何かですが
迷子ってなによ?
 傭兵としてさまよってた時代が迷子って解釈
 その後氏政様に雇われて普通の人っていうか孫っぽく扱われてたから自分の居場所を見つけたということにより迷子じゃなくなる、みたいな解釈です

2010.7.3 歌穏より黒狐様へ