もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ
魔法薬学との出会い


「え、なにこれ面白い」

かき混ぜる手が止まることはなく、普段眠たそうなステーシーの目はきらきらと輝いている
転生前はゲテモノとか触ったり、必ず同じ長さに切らないといけなかったりとか面倒くさそうだと思っていたけれど、やってみると以外と面白い
だって同じ材料使ってるのに入れる順番とか中身をかき混ぜる回数とかでぜんっぜん別のものになるんだよ

「魔法薬学は奥が深いだろう?」
「ありがとうございます、サラザールが教えてくれなかったらきっとこの楽しさを知るのはもっと後でしたから」
「楽しんでもらえたようで何よりだ、当代殿」
「お?なんだステーシー、サラに魔法薬学教えてもらってんのか」

サラザールと会話をしていたステーシーの元に、ひょいと顔を覗かせたのはゴトリックだ
近づいてきてナチュラルにサラザールの方に肘を置くゴトリックを見てみぬふりをしつつ、ステーシーは完成した薬を瓶詰めして蓋をすると、薬の名前を書いたシールを瓶に貼り、棚に置いた
いちゃつき始めた二人を総スルーしてステーシーが向かったのは魔法薬学の本が並んだ本棚の前だ
タイトルには何も突っ込むまいと思いつつ、魔法薬学はこれでカンペキ☆初級編と書かれた本を手に取ると、ぺらぺらとめくる
簡単そうなものを選ぶと、本を片手にまた鍋の前に立つ

慎重に材料を切り、薬を作ること約1時間

「お前らいちゃつくなら別なところでしろ」
「お、すまんすまん。行くかサラ」
「あぁ。分からない事があったらいつでも聞きに来て構わない、当代殿」

流石にうざったくなったため、手が空いたステーシーは二人に突っ込む
ゴトリックとサラザールは、軽く謝ると部屋を出て行った
残されたステーシーは、一言呟く

「・・・いや、無理でしょ」

だってゴトリックがサラザールの事離さないだろうし

小さく呟いた言葉はステーシーしか居ない部屋でむなしく響いた



小話第一弾がこれです・・・(笑)
曰く、ゴトサラらしいので、そちらも意識しつつ主人公の性格と口調はこれでいいのかちょっと不安なのですが・・・らしさが出ていたらいいな、と
もし名前変換機能があったほうがいいとの声があればつけますが、今のところデフォのステーシーのままでいきます

- 2 -