気がつけない人 side:三郎 雷蔵と共に学園の外に出た一縷 一縷が居なくなったことで、学園には弊害が沢山出た それこそ、嫌になるくらいに 「今まで何も無かったのに、アイツが居なくなった瞬間にこれかよ・・・!」 「なに言ってるんだが分からんが、無駄口叩いている暇があったらさっさと動け鉢屋!」 続く敵襲 後輩達を守るために、俺達が必死に戦っても、それが止むことは無く どれほど自分が・・・いや、学園が一縷によって守られていたのか実感した きぃんと高く鳴る金属がぶつかり合う音、疲弊していく私達 教員は手を出さず、今はただ俺達を見守るだけだ それはただ・・・大切なものを、思い出させるために 学園長は俺と七松先輩、そして四年生たちに言った このまま今の状態が続くのでは、私達以外皆、忍たまは卒業させることが出来ないと 一年生や二年生は、まだいい まだ、5年、あるいは4年ある 三年生も、ギリギリ更正させることが出来るかもしれない 四年生は、斉藤を除いた3人は一縷の元に居たから、問題ない だが、五年生と六年生は、今のままでは手の施しようが無い 自分で間違いに気がつかなければ、戻れない 「今までこんな事なかったのに、なんで行き成り・・・!」 「倒してもキリがねぇよ・・・」 荒い息を吐きながら悪態をつく先輩の姿に、私は心がさめていくのを感じた 私たち五年生が目指してきた六年生の姿は、こんなものだったのかと チラリ、と七松先輩を見ればいつも通り・・・そう、鈴音さんが来る前と同じように、敵をなぎ倒していく姿 少し前までは、先輩達もああだったんだろうか 今の印象が強すぎて、既にその姿も記憶に薄い 「ほのかが守ってくれてたのがなくなっただけでこのザマ?ホント、温くなったわよね」 「浦瀬・・・」 「鈴音さん鈴音さんって、バカの一つ覚えに女の影追いかけて、間者だって分かったから殺したのにそれを見ない振りしてほのかを殺そうとして!あんた達なにしにここにいるわけ?!後輩すら守れない先輩なんていわらないわよ!!」 「てめ、言わせておけば!」 「何度でも言ってあげるわ!本来のあり方すら忘れてのうのうと生きてる奴らなんか先輩でもなんでもない、鍛錬すら怠って既に使えないあんた達なんて、学園に必要ないのよ!」 先輩達を睨みながらの浦瀬の叫び 今、仲間割れをすべきではない、けれど確かに、鍛錬を怠った事で出来た実力の差は埋められなかった なら、さっさと目を覚ましてもらって、先生方に助力を請うしかない いつもこれを食い止めてくれた一縷は、遠く離れた地に居るのだから 「なあ、長次、お前は気がついてるんじゃないのか?だって、私が鍛錬するのに、ついてきていたんだから」 七松先輩の言葉に答えるようにひゅ、と縄が音を立てて飛ぶ 先につけられた標が的確に敵の目を潰した それにたたみをかけるようにその命を刈り取る七松先輩 「私は、忍術学園の六年生だ」 「長次・・・それ、どういうこと・・・?」 「自分で気がつかなければ、意味は無い」 中在家先輩は、動揺したように聞いた善法寺先輩にただ静かに返して、縄標を飛ばした 気がつけない人 → 戻 |