穏やかな夕暮れ 授業を受けて、あいてる時間は鈴音さんとともに居る そんな日々が続く中で、私は違和感がある鈴音さんと、違和感のない鈴音さんが居ることに気がついた 些細な違和感ではある、けれど確実に降り積もる疑問 そんなある日に唐突に組まれた、忍たまとくのたまの合同演習 それも聞いたところによれば、6年生と5年生の合同でもあるとか そうは言っても、今くのたまに6年生の先輩はいらっしゃらない 去年唯一いらっしゃった先輩は、今年に入るとき、縁談のお話が出たからと学園を辞めてしまった 故に、実はくのたまの一番上は私たち5年生、それも私と友人しか居ない状態 だからこそ、鈴音さんとともに過ごすことを任された訳だけれど 「コイツが一縷ほのか?・・・意外と普通なんだなー」 「ちょっ、ハチ、それ一縷さんに失礼だよ!」 「ハチがそう思うのも無理ないぞ、私だって一縷は七松先輩の女版とはいえないくらい普通だと思ったからな」 ボサボサの頭のハチと呼ばれた人が、不思議そうに私を観察して それを諌める不思議な髪の人 そしてハチくんとやらの言葉を肯定した上で、悪びれもなく追い討ちを書ける鉢屋くん そんな鉢屋くんに、不破くんが制裁とでもいうように、ぺしんと軽く鉢屋くんの頭を叩いた 「あんたたち、それやって楽しい?」 「そろそろ・・・用意をしないとまずいと思うんですけど」 「#nane#の言うとおりよ。そろそろ作戦練っておかないと、七松先輩にボッコボコにされるんじゃない?」 にこりと笑いながら、あまり現実になってほしくないことをさらりと言い放った友人に、忍たま5人組が遊んでいた手を止めた といっても、一人は傍観とでも言うように特に口出しをしていなかったのだけれど この中では、その彼が作戦を練るらしい 地面に絵を描き始めた 「一縷さんは、七松先輩と同じ位だって考えていいんだよな?」 「えぇ、ほのかは強いもの」 「・・・そこでどうして茅野が答えるんですか」 ふふん、と得意げに答えた友人に、私は疲れたように突っ込む 私を恐れない友人ではあるが、私の力を自分の事のように言うのが・・・何故だか、他人事だからこそだというような気がしてどうしても好きになれない 友人だというのに そういう考え方しか出来ない私にも、反吐が出る 「とりあえず、俺が札は持っておく。三郎は俺になって勘ちゃんと居てくれ」 「私とほのかは適当に動いて居ればいいのかしら」 「一縷さんに、できれば七松先輩をお願いしたいところだけど、男女の力の差とかあるから、無理にとは言わないよ」 茅野は私を振り返り、目で出来るでしょ?と訴える 私はそれにこくりと小さく頷いた 茅野は久々知くんに向き直ると、できるわ、私たちを見くびらないでちょうだいな、と言い放った 「分かった、じゃあ二人は七松先輩を頼んだ」 「任せなさいな」 「そこで浦瀬が胸を張る意味が私には分からん」 ふ、と笑みを浮かべた久々知くんに、茅野が胸を張って返せば、既に準備万端とばかりに久々知くんの顔になった鉢屋くんに突っ込まれた 授業とは言え、これから大怪我をするかもしれないというのに、やけに緊張感のない空気に、私は小さく笑った 穏やかな夕暮れ → 戻 |