金盞花「嫉妬」 side:? 最近憧れの先輩が見れなくなった そして回り始めた噂 "忍たま6年生の長屋の奥に、一般人の女性が匿われている" もしかして先輩がきてくれないのは、その女のせいなの? 私のことはもう見向きもしてくれないのね 罪な人・・・でも、そんな先輩でも私は愛してあげる 今なら間に合うわ、だから帰ってきて? ・・・あぁ、時間切れだわ 私の元には返ってきてくれないのね そう・・・その女のせいね 私のものなのよ、先輩は 返してくれないのは貴方、だから自業自得 一般人のくせに、私の先輩を奪おうだなんて、身の程を知りなさいな 愛しているわ、中在家先輩・・・ 狂気は彼女を伽藍締めにすると、その手に凶器を握らせた ――――― side:朝花 いつもは長次くんか篤葉ちゃんか小平太くんが居てくれる自室は、私ひとりぽつんと居るだけ まるでここに来る前の自分の部屋のよう 私以外誰も居ない家の、暗い自室の隅で身体を小さくして、自分という存在をなくそうとした ・・・今の私の立場だって、あまり良いものじゃないはず 一般人には内緒のこの場所に、得体の知れない女が住むなんて 散々迷惑をかけている長次くんにだって、何も恩返しは出来ない ただで居させてもらうわけにもいかないからと針子をしていても、私の存在を公には出来ないからと、長次くんや篤葉ちゃんや小平太くん以外は私を知らないから、なかなか繕う物はない 出来ることといえば、布を貰ってそこに刺繍をするだけだ 糸だって色もないし、限りがあるから、頻繁には出来ないけれど 最初に手ぬぐいにヘムヘムを刺繍して学園長先生に渡してもらったら、喜んでもらえたと言うのは長次くん伝に聞いた 喜んでもらえるならまた作ろうっていう気持ちにもなるけれど、作ってもあげる人が居ないから、とやりたくても自制しているのが現状 ふう、と一つため息をついた 「一人だと・・・暗いことばかり考えるから、ダメだね」 誰も居ない部屋に響く独り言 声を拾う人も、返してくれる人もいない 今まで誰かが居てくれたから、寂しくは無かったけれど ・・・一人じゃないことに慣れてしまった今は、一人が寂しい もちろん忍務に出ているからこれないんだって、三人から聞いてはいたけれど 頭で分かっていても、感情が追いつかないのは、一般人だからなのかな あまりにも私の周りに居てくれた人が優しかったから 私の存在がどれだけ異質なのか、私の立場がどれだけ不安定なのか、それを忘れていた → 戻 |