もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

ちょっとした不思議






伊作くんが家に来てからしばらくして、私はちょっとだけ気になったことを聞いた


「ねえ、伊作くん、ソレ見てるけど、不思議じゃないの?」
「え?」


伊作くんはきょとりと首をかしげた
彼がテレビの前に座って見るのは教育テレビ
箱の中では井桁模様の一年生達が動き回っている


「うーん、あんまり・・・?」
「・・・そうなんだ・・・でもそれって確か今再放送だから、伊作くんにとっては懐かしいとか?」
「あ、それはあるかな・・・」


一年は組の子達の話題は尽きないよね、とニコニコ笑いながら見てる伊作くん
普通は驚くんじゃないかしら、こういうの・・・
まあ、いろいろここが異世界で未来って言う証拠は見せてるし、そこら辺はきちんと説明したからその分良かったのかもしれないけれど・・・
そこまで考えて、私は一言呟いた


「・・・まあ、本人がいいならいっか」


私は伊作くんのためにコップにジュースを注いで前のテーブルに置くと、一緒にテレビを見るために自分の飲み物を片手に隣に座ったのだった



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