もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

だって家族だし






「伊作くーん?」
「あ、伊織さん」
「・・・どんなところにいるのよ・・・」


買い物から帰ってきたら、なぜか伊作くんが部屋のベットと壁の隙間に埋まっていた
たすけてくださいーと叫ぶ伊作くん
・・・なんでそんなところに入ったんだろう・・・


「不運委員長、だっけ?」
「あ、まあ、そうなんですけど・・・」


引っ張りあげれば、たすかりました、とふにゃりと笑った
そんな伊作くんを見て、私は一言言った


「ねえ、舌あんまり回ってないのに、敬語って大変じゃない?」
「え・・・・・・あ、はい・・・まあ・・・」


でも伊織さんのほうがとしうえですし、と困ったように言う伊作くん
別に私気にしないんだけどね・・・だって伊作くんって確か15歳でしょ、落ち着き方だけ見てると見えないけど・・・
私は笑った


「そんなに畏まらなくてもいいわよ、だってここにいる間は家族でしょ?どんないきさつでアレ、さ」


それにその姿で敬語使われてるほうが違和感あるわよ、と小さな体を指差した
伊作くんは、自分を見て、それもそうだね、と呟いた


「・・・あ、じゃあ伊織さんは伊織ねえさん?」
「・・・まあ、かまわないけどね、伊作くんがそう呼びたいならどうぞ」


伊作くんは嬉しそうに笑った



だって家族だし