もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

冬の感じ方 ver.勘右衛門







以前兵助の季節の感じ方は豆腐であることが判明したのだけれど、そういえば他の子はそういうのがあるのだろうか?と疑問に思った
まあ、疑問は早々に解決することになったのだけれど
・・・例のごとく、夕食で

その日の夕食はうどんが安売りしていたので、味噌煮込みうどんでもするかと思い立ち、買い物をして帰った
ということで、夕飯は根菜を多めに入れた味噌煮込みうどんだったのだけれど
それに兵助ほどではないけれど、なんだか嬉しそうにしたのは勘右衛門
どうやら彼はうどんが好きらしい
・・・髪の毛と何かしら関係あるのではないだろうかと思ってしまう


「勘右衛門、うどんすきなの?」
「うん、おれうどんがこうぶつなんだー」


にこりと笑ってうどんのお代わりをねだる勘右衛門に、私はお代わりをよそりながらへーと返した
その横でおまえのうどんずきはへいすけのつぎにだよな、と呟く三郎がいた
・・・そんなに好きなのか


「さぶろーひどいなぁ、おれ、へーすけほどじゃないよ?」
「おれほどってなんだよ」
「へいすけもかんえもんもにたようなものだろ・・・」


なんだか疲れたように、けれど二人に聞こえないようになのか小さく呟いたハチ
・・・なんだろう、ものすごく苦労人のように思えてくるのは私だけだろうか


「ちなみに、勘右衛門、冬のうどんは?」
「煮込みうどんかなぁ」
「・・・他の季節は?」
「はるはかけうどんかな、なつはざるうどんがおいしいとおもうよ。あきは・・・でもあきも寒くなってきたらあったかいほうがおいしいから、かけうどん?」


凄く兵助とよく似た答えが返ってきた
同じクラスだと言っていたし、クラスが同じだと似るということなのだろうか?
凄く気になる、他のい組の人って来ないんだろうか
でもこの五人で仲良しグループみたいだし、来るとしたら一グループみたいだから、まあ来ることはないんだろう
・・・残念のような、ほっとしたような・・・
なんだか複雑な気がする


「まあ、寒い時期にはあったかいほうが美味しいからね・・・ご飯がうどんになるときは煮込みにするよ」
「ほんと?ありがとう、伊織さん!」


嬉しそうに笑った勘右衛門
うどんは手軽だから、これからもご飯になる機会は多いだろうし
火の使い方は説明してあるから、つゆを作って置いてうどんを入れて煮込ませるだけにすれば、お昼ご飯としてもうどんは使えるだろう・・・多分
六年生のときみたいに、不運っ子はいないし・・・
あの時は火とか危なっかしくて使わせられなかったもの
家を空けるときも凄く不安だったな・・・

その分、五年生五人組はしっかりしていて見ていて安心できる
まあ、この五人なら別にお昼ご飯作り置きじゃなくて、途中まで作って食べるときに最後の仕上げだけっていうのも多くて問題なさそうだから


「そのうち、みんなだけで最後あっためたり出来るようにして、私の居ない昼間に食べれるようにしよう」
「だいどころ、つかわせてくれるの?」
「五人は見てて安心できるからね」


そういうと、ちょっと嬉しそうに顔を見合わせて笑った五人は、なんだか凄く可愛かった
小さいって、なんだか偉大?



冬の感じ方 ver.勘右衛門