もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

かぼちゃを食べる日







ふとカレンダーを見れば、小さく冬至と書かれた日付が近い


「もうそんな季節か・・・」


クリスマスも近いが、彼らにとってはクリスマスなんていう外国のイベントよりも、冬至のほうが身近だろう
もちろん、クリスマスは一応ケーキとチキンくらい用意してあげたいけれど、日本人としては冬至のほうが大事なのかもしれない
とりあえず今日は買い物にかぼちゃを追加かなと頭の中で呟いて、粉類がまとめておいてある棚を漁る
そして出てくる目当ての物
少しだけ7人分にしては足りないかもしれないけれど、私が食べなければいいことだろう、多分


「ちょっと買い物行くけど、誰かいく?」
「あ、僕行きたい!」


声を変えれば、伊作がはいっ!と手を上げて主張したので、私は伊作の不運用救急セットをカバンに入れてから、他の5人に物壊さないようにねと声をかけてから、私は伊作を連れてスーパーに向かった





夕飯の買い物ももちろんなのだが、かぼちゃを購入する
今年はどうやら豊作だったようで、いつもよりもちょっとだけ安い
少し考えてから、かぼちゃだったらお菓子にも加工できるし、と2つ購入することに決めた
伊作に食べたいものを聞けば、どうやらグラタンが食べたいらしいので、マカロニ等の具材も一緒にかごに放り込む
どうやらグラタンにかぼちゃも使えそうだなぁと献立を考えながら、カートを引く
・・・周りのおば様方の視線がちょっとあるなーとおもうのは、この年で伊作くらいの年齢の子ども連れてるからなのか、それともただ単に、伊作が見た目いいからなのか・・・
どちらにしても、あまりうれしいことではないので、早々に買い物を終らせるかと伊作の手を引いてフロアをまわった





家に帰ればきゃいきゃいと騒ぐ声
近所迷惑になってるんじゃないかと常々思うのだが、お隣などから特に何も言われないので、とりあえずいいかと放置している
でもそのうち謝りに行かないといけないなとは思う
伊作とリビングに入れば、お帰りとかけられる声に、ただいまと返して、伊作の持っていたビニール袋を受け取る
私は早速キッチンでかぼちゃを切ると、丸々一個の皮を取り、煮る
後の1個は、半分を適当な大きさに切ってから、こちらも煮る
最初の皮をとった方が煮えると、私は裏ごししてから団子粉をくわえてこねた
団子にするだけならば、6人でも出来るだろうし、何か作る行為はそれなりに面白いものだから


「なんかいい匂いがする!伊織さん、何作ってるんだ?」


パタパタとキッチンに入ってきた小平太が私に聞いてきたので、ボールの中身を見せる


「冬至だからね、かぼちゃ団子を作っていたんだよ」
「だんごっ?!」


だんごのセリフにきらりと小平太が目を輝かせた
どうやら食べたいらしい
私は苦笑すると、これから丸めるんだから、まだだよと告げた
すると小平太はよほど早く食べたいのか、手伝う!と元気良く宣言した
もともと手伝って貰うつもりではいたけれど、丁度良いかと、テーブルを拭いて大皿を出す
わらわらと集まってきた彼らに、手を洗ってくるように指示をして、私はだんごを丸める作業を再開する
少ししてから、バタバタと騒がしく戻ってきた6人に、私は見本を見せると、丸めるだけに出来るようにと、だんごを一口の大きさに分け始める


「お前のだんごは歪だなっ」
「んだとてめー!」
「2人とも、騒ぐな、喧嘩するな、唾が入る」


口喧嘩し始めた留三郎と文次郎に、私は一喝して、手元の作業を再開した





しばらくみんなで作っただんごは大皿に山盛りになり、私は6人にありがとねと声をかけてから、茹でて半分を冷凍庫に放り込む
後の半分は今日のおやつでお汁粉にしてだしてあげた
小平太がおかわりを要求してきたから却下したらごねたんだけど、長次が叱ってくれた
・・・でも飼い犬と飼い主に見えるのは何でだろうね・・・





かぼちゃを食べる日






―――――
今日(12月22日)は冬至ですね
ということでかぼちゃネタ
お風呂はさすがに無理でした