絹豆腐とほっとけーき 夕食を終えて、食器を片付けていると、最近来た子が声を上げた 結構静かな子なのに、珍しいと思って振り向けば、その子・・・兵助はテレビに映ったものに対して歓声を上げたようだ 後姿でも分かるくらいに喜びが表されている 強いてその状態を言葉で話すならば、花が舞っているとか、凄く輝いてるとか、そんな感じだろうか なににそんなに喜んでいるのだろうかとテレビの内容に目を向ければ、そこに映っていた番組は、お.ね.が.い.ラ.ン.キ.ン.グの中の一つで、いろんなものにいろんなものを足して美味しいものをランキングしてみようというものだった そして今回はどうやらホットケーキをどうすれば美味しくなるかというものをしていたらしいのだが・・・ その一位が絹豆腐だったらしい 「・・・ホットケーキに、ねー・・・」 ちらりと粉類が収められている棚を見れば、そこにはホットケーキの粉が鎮座している 6年生がいた頃に作って、評判が良かったからと常備してあるものだ 5年生にも作ってあげたけれど、やっぱり結構好評で、おやつになると焼いてあげたりしている 棚から目を離して再度兵助を見やれば、こちらを向いてきらきらと目を輝かせている 「伊織さん・・・!」 「・・・・・・明日ね、明日・・・」 期待した目でこちらを見つめた兵助に、私は勝てなかった 食後のデザートとして出してあげたみたらしだんごをお茶請けにお茶を啜っていた三郎にはうわぁって目をされたけれど だって・・・まずくても豆腐が入ってれば兵助食べそうだもの・・・ 私は冷蔵庫に絹豆腐あったかなーとおもいながら、途中にしていた皿洗いを再開した 次の日 冷蔵庫に豆腐がなかったために、その日のおやつにということになった豆腐ホットケーキ ・・・朝から兵助の恨めしそうな視線がね、うん・・・ ちなみに、朝は普通にご飯でした 私の中での決め事だけれど、バランスよく食べさせること、一日のご飯の中に必ず和食は入れること、が6年生が来てからの決め事だ 後、出来るだけ化学調味料とか使わないようにしている ので、確実に彼らが来てから私の料理スキルは上がったことだろう・・・ 買い物に兵助を連れて行けば、必ず彼は豆腐売り場で立ち止まる そして必ずお高い豆腐をかごに入れられるのだ まあ、それを言うと、誰かを連れてくると必ずその子の好きなものが入ってるんだけど 我ながら甘いなーと思うけど、喜んでくれるならいいかなって思うのよね 彼らがこちらで過ごすことなんて、帰ってしまったらもう無いだろうから・・・ だから戦争の無いこの平和な世界で、きっと帰ったら戦火に身を投じていくんだろう彼らの好きなことをさせてやりたいと思うのは、ただのおせっかいなんだろうか? 「伊織さんっ、これ入れてもいい?」 「1個だけね、1個」 今日もそうしてかごに豆腐が追加されるのだった 家についてから、丁度いい時間だったので、昨日見た豆腐を入れたホットケーキを作る それを出してあげれば、きらきらと輝く兵助の目 そんな様子に、三郎は呆れて雷蔵はちょっと苦笑してるけれど、一応興味はあるようで、ホットケーキに手をつけた 私はそんな彼らを見ながら、入れた紅茶に口をつける 「あ、うまい」 「ほんとだ・・・思ってたよりも美味しいね」 兵助はとても嬉しそうな顔をして食べているけれど、三郎と雷蔵はやっぱり抵抗があったようで、ちょこっとだけ食べてそうこぼした 兵助は言わずとも気に入ったようで、おかわりを要求された まあ、夕飯食べれなくなるからって却下したけれど どうやらこのホットケーキ、5年生がいる間はたびたび作ることになりそうだなーと思いながら、私は少し口元を緩めた 絹豆腐とほっとけーき ――――― いやぁ、1位を見た瞬間に妹と驚きまして、そこからこれは兵助ネタだ・・・!と 私はまだやってません、でも近いうちにやるつもりでいますー(笑) 番組名は白表記で文字と文字の間に.を入れてますので、それで一応検索除けということで・・・ 戻 |