もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

暴君登場!







ガタガタっ!と大きな音がした
その音がした場所は・・・・・・寝室


「なにかおとがしたな」
「だれかきたのか?」


取っ組み合いをしていた文次郎と留三郎がお互いの服をつかみ合ったまま動きを止めていった
・・・このまま喧嘩やめてくれないかな
そう思いつつ、私は寝室に行くべく席を立った


「おれもいく」
「もんじろう、おれも、じゃなくておれたちもだろ」
「あぁ、じゃあ一緒に行こうか」


私は二人を連れて寝室の扉を開いた
すると弾丸のように飛び出してくる子ども


「いっけいけどんどーん!ここどこだ!?」
「「こへいた!」」
「・・・また個性的な・・・」


ぼさりとした髪の子ども
どうやら"こへいた"というらしい
また騒がしくなりそうな気がする・・・
ぎゃいぎゃいと三人で騒ぎ出した様子を見ながら、私は一つため息をついた




―――――




「はい、座る」
「あんただれ?」


見たことない服を着た女の人がいて、私はそう聞いた
女の人は苦笑いすると、とりあえず落ち着いて話をしようか、と言ってきた
私は落ち着いているんだけどなぁ
文次郎と留三郎もなんだかよく分からない服を着てるし、見えるものも変なものばかり
二人がとりあえず座ろうというから、私はその場にどかりと腰を下ろした


「ありがとう、私の名前は周防伊織だ、伊織と呼んでくれればいい」
「わたしはななまつこへいただ!」
「ななまつこへいた・・・"七松小平太"とこの字でいいのかな?」


紙にかかれて見せられた字に、私は大きく頷く
女の人・・・伊織は私にそれじゃ、個々の説明をさせてもらうよ、と言った
ここ・・・ここってどこだろうか?
私が質問しようとすると、取り合えず静かにしてろと文次郎に言われた
・・・なんだか従うのもなーと思ったけど、とりあえず言われたとおりにする


「まずここは今まで君を含めた6人が生活していた時代じゃない。君の居た時代よりもそうだな、ざっと600年とか後の時代だ」
「えー?そんなのしんじられない」
「おれたちもそうおもったんだけどなー」


ほんとうなんだよ、と頭を掻く留三郎
文次郎も留三郎も言うようじゃ、これって本当なのかー
あんまり信じられないけど・・・


「あ、そういえば、6にんって、他のみんなもきてるってこと?」
「あぁ、君が一番最後だ」


そろそろ帰ってくるんじゃないかといいながらどこかを見た伊織
そのときに、どこからかがちゃんと音がした
そしてその音に、帰ってきたなと伊織が呟いた


「ただいま、伊織さん!」
「いまかえったぞ」
「・・・ただいま」


ひょこりと顔を出したのはここにいなかった3人
3人は私を見て、伊作と仙蔵があ、と声を上げた
長次はこちらを見て少し驚いたような雰囲気を出す


「こへいた?こへいたもこっちにきたんだね」
「これで6ねんせいぜんいんそろったな」


そういって笑う二人もよく分からない服を着ていて
なんだか伊織の言うことは本当らしいということが分かる


「なんだかおもしろいせかいなんだな!」
「面白いって・・・まあ、君たちからしたらそうなのかもしれないね」
「うん、よろしくな伊織!」


私が一応納得してそういえば、伊織はあぁ、よろしく小平太、と笑顔を浮かべた






暴君登場!