もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

たまご.っち!










「うわぁ、懐かしい」
「伊織さん、これなんですか?」


友達からラッピングされて渡された箱を開ければ、中から出てきたのはカラフルな箱
小さいキーホルダーのようになったゲーム機
昔は白黒の画面だったのに、今では時代の流れの例に漏れずカラーになっている
それでもそのカタチは変わらないまま


「なんかなかでうごいてるな」
「あぁ、"たまご.っち"っていうんだよ。からくりを利用した遊戯の一種って感じかな」


操作方法は簡単だから、やってみる?といえば目を輝かせる二人
私はお手本で、たまご.っちを操作し始めた


「要するに生き物をそだてる遊戯なんだ。実際に飼うのは大変だからね」
「へぇ・・・よくできてるんだな」
「あそんだり、ごはんをあげたりできるんですね」
「そういうこと」


興味津々に画面を覗き込む二人に見やすいように、私は少し画面を離して操作する
操作方法を一通り教えてから二人に渡すと、楽しそうにいじり始めた
それを横目で見ながら、私は説明書に目をやった
今のたまご.っちは通信機能があるのだという
きゃいきゃいと遊ぶ二人を見ながら、もう一個あれば二人で通信して遊べるのかしらと思い、明日にでも買うか、と考えつつ二人を見守るのだった





後日談


「みてみて、伊織!」
「ん?どうした」
「あだるとっちってやつになったぞ!」


見るとそこにはおやじの顔をしたキャラクターが
・・・隠しキャラクターを最初から出すとは・・・
たまご.っちを持ちながら見せにきた三郎に続いて、雷蔵も買い与えたたまご.っちを持ってとてとてと走ってきた


「伊織さん!みてみて、ぼくもあだるとっちっていうのになったよ!」
「それはよかった。どんなのになったんだ?」


そういって見せてもらうと、画面に映し出されていたのは


「・・・ふわらっち?」
「え?」
「ぶっ!伊織、それ、ふわらっちじゃなくてふらわっちだぞ!」
「あ、ホントだ」


どうやら読み間違えたらしい
雷蔵が困ったように笑い、三郎は大笑いしていた
そんなにおかしいか、三郎・・・
私は雷蔵に謝ると、二人の頭に手をのせて、アダルトっちまでいってよかったな、と笑った





たまご.っち!





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雪花よりネタを頂いたので、提供者の雪花へ贈ります
ネタ提供ありがとー!