もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

無口な子どもをご招待







「・・・・・・」
「・・・・・・」


じぃっと見詰め合う私とその子ども
どうやらまた飛んできたらしい
向こうはこっちを警戒しているみたいだけど・・・無言って変な感じね
と、そこに扉を開ける音がした


「伊織ねえさーん・・・ってちょうじ?」
「あ、やっぱお友達なの」


ひょこりと顔を出した伊作のセリフに、私は納得した
まあ、みんな落ちてきたとき服が一緒だったものね
みんな緑色のこのちょうじって子もそうだし


「ちょうじもこっちきたの?」
「・・・きがついたら、いた」
「ぼくたちもそんなかんじだから、あまりふかくきにしないほうがいいよ」


新しい子はどうやら無口な子らしい
それにしても顔の傷は治らないまま残ってるから怖い印象受けるってことね
みんななんだかんだと傷が多いし、忍だから仕方ないけど・・・
現代に生きる私としてはなんとも言えないわよね


「とりあえず、寝室に居るのもなんだし、向こうの部屋に連れて行く?」
「あ!そうだ、またとめさんともんじろうがちっちゃいけんかしてるから、伊織ねえさん、とめて!」
「懲りないわねー・・・わかったわ、いってくるから伊作はそっちのこ連れてきて」


私は伊作とちょうじくんとやらを置いて急いで寝室を出た
そして広がる取っ組み合いの現場
・・・あぁ、いつも通り仙蔵は我関せずなのね
私は二人に近づくと、むんずと襟を掴んだ


「ぐえっ」
「くびしまる・・・っ」
「あんた達、喧嘩は良いけど取っ組み合いは駄目。物を壊しかねないでしょ」


ばしばしと腕を叩かれたから開放してやりつつ私がそういえば、二人は苦しさからか少々涙目で私を見上げた


「きをつけるから・・・「そういって何度壊した?」・・・ごめんなさい」
「・・・すまん・・・」


はぁ、といつまでたっても仲良くできず、器物破損をする二人の頭に、私はぽすりと手を置いた


「とりあえず、新しい子来たから、4人でこっちの事教えてあげなさいな。いい加減慣れたでしょ?」
「だれかきたのか?」
「だれだ?」


あっち、と言って寝室に繋がる扉を見れば、伊作とちょうじくんが出てきていた
それを見て、二人はちょうじ!と声を上げるお茶を飲んでいた仙蔵も、ちょうじくんを見ていた

・・・6年生、これ全員集合するんじゃないの?

そんなことをおもいながら、私は喧嘩の後で腹減ったと催促してくるであろう文次郎と留三郎のために何か作るべく、キッチンへ入ったのだった





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