もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

天の川の夜





「あ、晴れてる」


私はふと夜空を見上げてそうつぶやいた
窓際で外を見たままの私を疑問に感じたのか、いさっくんが寄ってきた


「どうかしたんですか?」
「んー、晴れてるなって思ってさー・・・七夕でしょ、今日」


いさっくんは私の七夕という台詞にあ、というような顔をした
・・・忘れてたのね、まぁ、私もそうだから何もいわないけど


「笹飾り、作ろうか」
「え、でも竹が・・・」


不思議そうな顔で笹飾り・・・と呟くいさっくんに、私は苦笑を漏らす
相変わらず、この時代に慣れてないようで、それがまたなんだかかわいく思える


「七夕セット、買ってくるよ、あれなら小さい笹がついてるし」


私は折り紙とハサミとのり、後救急セットをだした
既にいさっくんには救急セットが付き物になってるのよね、留守番頼むとかならず一度は怪我するから・・・
私はいさっくんに、気をつけてね、と声をかけて竹を買いに行った



―――――



「行ってらっしゃい」


僕の言葉に伊織さんは笑って行ってきますと返してでていった
・・・よし、飾り作ろう
僕は伊織さんの用意した折り紙を使って飾りを作り始めた
あ、やっぱり救急セットのお世話になったのは僕のお約束だったよ・・・


しばらくして、伊織さんが帰ってきた


「おかえりなさ・・・っ」


がんっ
僕はイスに足を引っ掛け、盛大に転んだ


「だ、大丈夫・・・?」


すごい音したけど・・・、といいながら、ひょいと廊下から顔をのぞかせた伊織さん
僕の様子を見て、苦笑した


「怪我はない?」
「あ、だいじょうぶです」


伊織さんはにこっと笑うと、買ってきた袋から、竹…というより、笹を出した
二人だしね、そんなおおきなのいらないと思って、と言いながら、短冊と筆ペンを僕に差し出した





天の川の夜
(いさっくん何書いた?)
(えっ・・・ひ、ひみつです!)
(・・・どうせ掛けるんだからばれるのになぁ・)