もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

人類の造形美に思いをはせていたところです






僕が医務室で左近に薬のつくり方を教えていると、真剣な顔をした留さんがたずねてきた


「なあ伊作」
「なぁに?留さん」
「やっぱり男は大きいほうがいいよな」
「留さん、変態にあげる薬はここにないよ」


留さんはやっぱり留さんだったよ
もう、左近が顔真っ赤にしちゃったじゃないか
用具委員の2年生である月島くんもいっつもいやそうにしてるし
留さん気がついてないけど
いい加減にしてくれないかな、ホント
月島くん、よく医務室で左近に泣きついてるの見るんだよね
なんなのあの人・・・!って嘆いてるんだけど、あの人って確実に留さんだよね


「留さん、この際だから言うけどさ、留さんのソレ、月島くんが凄い嫌がってるからね?」
「そんなわけないだろう、依敦も含めて用具委員はみんな大好きだからな!」
「ソレ留さんの一方通行だから、一年生はまだしも作兵衛くんと月島くんは確実に嫌がってるからね」


そんなわけないだろ!と否定する留さん
馬鹿につける薬はないっていうけど、変態につける薬もないよね
あー、もう、何で僕こんなのと同じ組なのかな
なにを考えているのか顔がでれっでれに崩れている
正直気持ち悪くてたまらないよ
いつも見てる月島くんがかわいそうで仕方ないね、僕の不運とか目じゃないよきっと
・・・あ、でもそうでもないのかな・・・どっこいどっこい?
でもそれくらい不運だよね
もう不運のよしみで保健委員に来ちゃえばいいのに


「留さん」
「なんだ、伊作」「いい加減死ねばいいよ」


にっこりと満面の笑みでそう言えば、一瞬ぴしりと留さんが固まった
しかし僕の毒舌もなんのその、すぐに伊作がツンデレをやったところで可愛くないぞ、と文句を言ってくる始末
別にツンデレでもなんでもないし、本当に何で僕こんなのと同室なのかな
先生に言って部屋変えてもら・・・ったら月島くんがきたときに止める人が居なくなっちゃうからダメなんだよね


「・・・はぁ」
「何でこう、年下の子どもってあんなに可愛らしいんだろうな・・・!膝に乗せて抱きしめてやると凄く丁度いいし、ちょっと丸っこいほうが抱き心地がいいがやっぱり依敦くらいが一番丁度いい!」


恍惚と年下のどこがいいかを語って結局月島くんに行き着く留さんのその脳内一回解体してみたいよ
僕はため息をついて、左近にアレは放って置いて、薬の続きやろうか、と疲れた笑みを浮かべた




人類の造形美に思いをはせていたところです
(いくら小さい子が可愛いからって、度を過ぎればただの変態なんだよ、留さん)







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