転んだら危ないから支ようとしていたんです 僕の委員会の委員長は大変な人だ なにが大変かって言うと、頭が逝っちゃってるんだよね 僕がそう思うのは主に委員長が後輩に接するとき だって、酷いんだよ・・・ 「「こんにちはー!食満先輩!」」 「お、来たな」 一年は組の二人組みが掃除を終えて委員会活動にやってきた それを笑顔で迎える委員長 しかしながらその顔はデレッデレにとけていて、見ているこっちは不快だ そしてその笑顔のままあいつら一年を抱きしめるのだ それを無邪気にきゃーとか言いながら受け入れてる姿に僕は鳥肌が立った・・・ 何であんなに普通に受け入れられるんだよ! 「作兵衛先輩、なんか仕事ありますか」 「あ、そっちの桶が壊れてるって食満先輩が言ってたから、直しといてくれ」 「分かりました」 作兵衛先輩のほうが全然マシだ 例え妄想癖があっても、僕には全然関係ないし さて、言われた仕事をさっさと終わらせて左近のところの手伝いに行かないと また薬箱ひっくり返してる気がする、今日はあんまり運が良くないと呟いていたし そんなことを思いながら僕が壊れた桶のつんである場所に移動しようと足を進める さっきまできゃーきゃー言っていた委員長と一年生はどうやら自分の仕事に戻ったらしい やけに静かになったし 気がつかないうちにぼーっと歩いていたのか、僕は足元に注意を向けていなくて、何かを謝って踏んでしまった それに気がついたときにはもう体制を崩していて、マズイ、と受身の態勢をとろうとする しかしいつまでたっても痛みはこなくて、代わりにあったのは暖かい背中と、やけに撫で回す手 ギギギとまるでブリキのおもちゃが動くような擬音がつくように後ろを向けば、そこには予想したとおり委員長が笑顔で立っていた 「いやぁ、危なかったなぁ、依敦」 「・・・・・」 「怪我はなさそうだな、俺が後ろに居てよかった、依敦が怪我する前に防げたしな」 ・・・ダメだ、この人、顔がデレッデレだ って言うか、この怪しく撫で繰り回す手どうにかしてくれないかな いい加減にうざったい、むしろあわせから手を入れようとするんじゃないかと気が気じゃない 「ありがとうございました、食満用具委員長」 僕は委員長にそういってさっさとその手を振り払うと、足元に注意しながら今度こそ桶のつんである場所に行き着いた ・・・誰か委員会変わってくれないかな・・・ 僕はものすごくこっちを見つめてくる委員長の視線を背中に受けながら、一つため息をついてそう思った 転んだら危ないから支ようとしていたんです (でも先輩、僕が転ぶこと前提で後ろでスタンバってましたよね) [*前] | [次#] ページ: |