もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

金吾のにゃー



吾輩は主人が心配だ
いつも疲れて帰って来ては、布団にぱったりと倒れ込んで、すぐに眠ってしまう主人

そら、今日もまただ


「みゃーう・・・」
「ごめんよましろ・・・僕、ねむく、て・・・」


うとうととしながら吾輩に謝る主人
謝る必要などないのだ主人
あの剣術の師範に稽古をしてもらい、疲れていることなど吾輩は百も承知
いまはゆるりと休むが良いよ

すう、と寝息をたてる主人
そのままでは寒かろう
部屋を見渡しても、掛けられるような物はなく
吾輩は丸まって眠る主人に寄り添った
吾輩は人間よりも体温が高いし、風邪を引きやすい時期でもないのだから、このままでも良いだろう

日が差し込む室内で、吾輩は静かに丸まった



皆元金吾の猫









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