きり丸のにゃー 吾輩の主人は居ない だが、主人に近い人間はいる 「にゃぁ」 「なんだよお前、また来たのか?」 そう言ってしゃがむと、主人に等しい彼は吾輩を撫でた ドがつくほどけちで、進んで吾輩にもご飯をくれたりはしないが、たまに、本当にたまにだが、食堂の人間に使えない野菜の芯や、魚をくれたりする それもものすごくたまになのは主人らしいといえば、らしいが故に、吾輩も文句を言わずに食べるのだ 吾輩は主人に等しい彼がいなければ、きっと死んでいただろう 彼がぼろぼろで今にも力つきようとしていた吾輩を見つけて、一緒にいた友人殿が吾輩の手当をしてくれたのだ 以来、吾輩は主人の助けになるならと忍猫なるものになるべく目下修行中である だがしかし・・・ 忍猫になるは良いのだが、あのボサボサ頭は吾輩が機嫌の良いときに限って嫌なことをしてくるのだ 友人殿が体を洗ってくれた次の日に土の上に寝かせられて、腹を撫でられるとは思わなかった まったく予想がつかん せっかく洗ってもらったというのに、台無になって少し落ち込んだのだ 「うーん・・・よし、バイト一緒にいくか?」 「にゃん!」 喜んで主人の為の招き猫をさせてもらおう 主人の為ならば吾輩は頑張れるのだ 摂津のきり丸の猫 戻 |