もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

兵助のにゃー



吾輩はましろである
忍術学園という人間の学校に通う、吾が主人に飼われる、ただの猫である


「ましろー?」


主人が呼んでいる
吾輩は行かねばならんな


「にゃおん」
「おかえりましろ。ご飯持ってきたぞ」


すり、とすり寄れば主人が頭を撫でた
吾輩はこの優しく撫でてくれる主人の手が好きだ
その友人の撫で方はいただけないが


「おーい、兵助・・・お、ましろか」


考えていると来るなどと、まったく間の悪い
がしがしと撫でてくるこの髪がぼさぼさの男は吾輩の天敵だ
主人の友人だからとこの爪で引っかくのを我慢しているだけであり、主人の友人じゃなかったら頭など撫でさせる前にぐっさりといってやるわ


「おい、あんまり乱暴にやるなよ、ましろが嫌がってるだろ」
「これくらいのほうがいーんだって」


まったくもってそんなことはないと断言しよう
飼育小屋の狼達はみなあのぼさぼさが好きなようだが、あの撫で方は大きなもの限定だと吾輩は断言する
野良猫たちも、餌がもらえるから懐くが、あの撫で方はいただけないとそろえて言うからな


「にゃぅ!」


仕返しに爪は出さないまでも、叩いてやった
まったく、手加減しているのだからさっさと出て行け


「お、遊んで欲しいのか?」


まったくそんなこと思っておらん!
ほれほれとちょっかいを出してくる手がうっとうしい
が、猫の本能で手が出てしまう
・・・しかし・・・
爪出してやろうか、まったく
吾輩は主人の持ってきたご飯の時間だというのに


「・・・ハチ・・・ましろがご飯食べれないだろ・・・」


そうだそうだ、主人よ、もっと言ってやれ
呆れた表情でぼさぼさ頭を叱る主人に、吾輩は貰ったご飯を食べながら、心の内でそう呟いた




久々知兵助の猫










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