もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

悲しい双子の物語 前


注意!必ずお読みください
この小説は、動画「悪.....ズ」の設定をお借りした落乱パロです
キャラクターの設定が自分設定であり、私自身が小説を読んでいない関係でえ?とおもうこともあるかと思います
また、元動画様とは一切関係ありませんので、ご迷惑をおかけしないようおねがいいたします
この小説はあくまで管理人歌穏の妄想の産物であることを十分理解した上でお読みください

では、ご了承いただける方は次がキャラ設定です
女王 三郎
召使 雷蔵
王子 兵助
娘 勘右衛門
騎士 八左ヱ門
(全員、男の子設定で行きます、女体化はありません)
色につきましては青を蒼、緑を碧、赤を紅とさせていただきます
黄色は・・・別の言い方がなかったので黄色のままで・・・
白は・・・・・・やるんだったら夢で夢主にすることにします、こっちでは出さない!
えー、簡単な感情図は、こちらに絵で描かせていただきました
本家様と変わりませんが、本家を知らない方は参考にどうぞ
それでは、どうぞ











黄を掲げるその国に生まれた子ども
王国に祝福されたその子どもは、けれど忌み嫌われる双子であった
災いをもたらす子ども
ならば、子どもを一人最初からなかったものにしてしまえば、子どもは災いをもたらすものではないと、そう考えた
故に、二人で一つであったはずの彼らは、大人たちの手によって引き裂かれてしまった
そうして彼らが再び出会うのは・・・――――






ついに来た
僕の片割れがいるこの場所に

大きな建物、それは黄色の名前を冠する城
遠い昔、この場所で、共にいたはずの僕らは身勝手な理由で離されてしまった
でも、僕らは一人だけでは成り立たないんだって、ちゃんと分かっていた
だから、僕は死に物狂いで勉強したんだ
王族に名を連ねるためではなく、片割れのそばで、もう一度僕らが一人になるために・・・


「・・・・・・」


僕はぎゅっと手を握る
さぁ、いこう、僕の愛しい片割れの元に・・・





「本日付で三郎様の召使となります、雷蔵と申します」
「・・・らい・・・ぞう・・・・・・?本当に・・・?」


とくり、と胸が温かくなる
そばにいる、半身
それが嘘じゃないのは、その気配が証明してくれる
軽い足音がして、気配が僕の前で止まった
伏せた顔からでも見える位置に、落ち着いた黄色の服を纏った足が見えた


「顔を、上げてくれ・・・」
「はい・・・っ」


そうして言われて顔を上げた先に見えるのは、鏡で見る僕の顔と同じ、けれど違う顔を持つ、僕の片割れ
彼は泣きそうな顔で僕を見ていた


「らいぞう・・・雷蔵・・・っ!」
「三郎、ただいま」
「っ、おか、えりっ!」


ぎゅっと一つになるように、僕らは強く抱きしめあう
僕は召使、三郎は王として、近くて遠い関係だけれど、心では一番繋がっている
そんな関係を、僕らは築き上げることになる



・・・でも
三郎は、とても臆病で、そして、純粋だった
故に、例えそれが世間から見て"悪"だとしても、三郎にとって、僕ら周りが・・・それを"悪"だと言わなければ、それは正しいことだと、そう思ってしまうような
それは長所であって、けれど短所だった


「雷蔵っ、今日のおやつはなんだっ?」
「今日はね、ブリオッシュを焼いてみたんだ」


そう言って紅茶を入れてあげれば、とても喜ぶ三郎の姿
この城はとても幸せで、この生活をするためにどれほどの民が苦しんでいるのかを、三郎は知らない
けど、僕はそれでもいいと思ってしまったんだ
三郎の代わりに、僕が全部やるから、僕が三郎を庇うから
だから、この笑顔を、この純粋で臆病な可愛い彼を、守らせて欲しいんだよ


「三郎、美味しい?」
「雷蔵の作ったものが不味いわけない、とても美味しいよ」
「そっか、よかった」


笑いあうこの時間が、永遠ならばどんなにいいだろうね




ある日、僕は国の用事で碧の国に来ていた
その城下町で見た笑顔


「わ・・・」


まあるい大きな目を持つ、可愛らしい子
どこかの貴族の使用人のようで、手は少しだけ荒れていた
でも笑顔がとても澄んでいて、きっと良い環境に恵まれているんだろうって思った
きっとそれは一目惚れで、でも僕は黄を背負う三郎の召使で、ずっと三郎と一緒だって誓ったから
この恋が叶わないだなんて、分かっているけれど
少し、この国にいる少しの間だけ、笑顔が綺麗な彼を見ていたいと、そう思ってしまったんだ






そんなある日、三郎が恋をした