妄想が止まらない 一夜といわゆる恋人ってやつになってからと言うもの、俺は一夜のまわりが気になって仕方ない 俺はちらりと盗み見るように一夜を見た 一夜はジュンコと遊んでいて、近くでは孫兵がそれを見ている 一夜は動物によく好かれていて、それこそあのほんわかした、けれど人を従わせる不思議な雰囲気がなければ生物委員だっただろう 実際、本人も動物が好きだから、飼育小屋にお邪魔するのはそうとう楽しいみたいだしな だからといって、孫兵が一夜を好きだとは思わない だって孫兵はジュンコを見つめてるだけだからな それよりも問題なのは・・・ 「一夜」 「三郎先輩?」 紺色が視界に入る その顔は尾浜先輩の物だったが、一夜は不思議そうに鉢屋先輩の名前を呼んだ ・・・すると尾浜先輩の顔をいつもの不破先輩の顔に戻した鉢屋先輩は一夜を抱き締めた 眉間にしわが寄る 一夜も一夜でいつものことだからって苦笑してるだけで抵抗しないし 俺としては一夜を触ってほしくないのに!そうやって後輩や先輩に構われてる一夜を見る度に俺は不安になるんだ 「・・・、・・・く・・・作ってば!」 「っ!?あ、一夜か・・・びっくりした・・・」 「どうかした?最近ずっとぼーっとしてるみたいだけど・・・」 心配そうに顔をのぞき込んでくる一夜 こつん、とおでこに小さな衝撃があって、一夜の顔がすごく近かった 「っ一夜?!」 「熱は無いみたいだね・・・」 一夜はそう言っておでこを話すと、首を傾げた 左門に負けないさらりとした髪が揺れる 「なぁ、一夜」 俺が名前を呼ぶと、どうかした?と返ってきて 俺、一夜と付き合ってるよな?と聞けば、あたりまえだよ、と一夜は笑った それでも不安におもっちまうのは、俺のせいなのか? 妄想が止まらない 【title from】こうふく、幸福、降伏 様 戻 |