合同実技授業 い 迎えた合同実技授業 その内容は組の違う二人組みでの組み手だ その組み手で、私はハチとあたることになる 既に生物委員として活動してきたその身体は筋肉が付いていかにも力がありますと主張している 対して私はどちらかといえば筋肉が付かず、純粋な力技では彼に劣るだろう 「遥人とか、よろしくな!」 「お手柔らかに頼むよ、よろしく、ハチ」 にかりと笑ったハチに、私はふっと笑みを口元に浮かべて返した 組み手をするのもだが、他から技を盗むのもまた授業、と一組ずつみんなの前で組み手をするということらしい 今はろ組とは組の生徒で争っているが、アホのは組といわれる彼らが一番実技は積んでいるのだ いい勝負をしている、ただ、今はろ組の彼が上手だが しばらくしないうちにろ組の彼がは組の彼の首元にクナイの先を突きつけると同時に、木下先生の止め!という合図が響いた 二人は一礼すると、それぞれの友の下へ戻っていく 「次!鉢屋三郎、久々知兵助!」 「お、私たちか」 「ずいぶん早いけど、お手柔らかに」 い組でも秀才と名高い兵助と、ろ組に居るにもかかわらず、天才の名を持つ三郎の組み手 学ぶことは多そうだと思いながら、すっと目を細める 二人が間を空けて対峙すると、ぴん、と場の空気が変わった 殺気と呼ぶには弱い、むしろ緊迫した空気と呼べばいいだろうか はじめ!と木下先生の合図が言い終わると同時に、ぶつかる二人 きんっと甲高い音を鳴らす三郎のクナイと兵助の忍刀 上段から切りかかった兵助の太刀を、三郎のクナイが受け止める すぐに反動をつけて兵助が三郎から離れ、大きく跳ぶ 先ほどまで兵助が居た場所には三郎のクナイが通り過ぎた 「飛ばしてるが、笑みを浮かべているな」 「おほー、楽しそうだな」 わくわくと隣で笑みを浮かべるハチ 目の前でぶつかる二人の顔にはうっすらと笑みが浮かんでいる 後ろに下がった兵助に、三郎は距離を詰めると、懐から手裏剣を取り出し足を狙うように投げる 低い手裏剣の軌道に、弾く事は無理と判断した兵助は、上に跳ぶ 太陽に重なるようにして目で終えないように飛んだ兵助は、三郎の後ろに付くと、振り向きざまに刃を振る その刃を再度クナイで止めた三郎は、すばやい動きで少々安定の悪い兵助の懐にもぐりこむ 慌てて距離をとろうとする兵助だったが、安定の悪い体制からでは兵助に分が悪く、三郎に足払いをかけられ完全に体制を崩す それでも三郎のすぐ前で倒れず、後ろに引いたのはさすがと言えるだろう 受身を取りながら立ち上がった兵助だったが、既に距離を詰めていた三郎にクナイをぴたりと首元につけられた兵助 それと同時に、木下先生の止めの合図 二人は一礼すると、こちらに歩いてきた 「お疲れさん」 「お疲れ様、二人とも」 にやにやとしながら兵助を見る三郎と、ちょっと機嫌の悪い兵助 何かあったのかとハチが問いかければ、始まる前にちょっとした賭けをしたのだそうだ どうやら、兵助が勝ったら今日の夕食で三郎から豆腐を貰い、三郎が勝ったら兵助の部屋にある茶菓子を貰うという約束だったらしい これも実力のある、学年でも上位を争う間柄だからこその賭けであろう 「約束は約束だからな、兵助」 「分かってる」 少々上機嫌な三郎を横目に見ながら、はあ、とため息をついた兵助に、私は仕方ないさ、と慰めの言葉をかけておいた 合同実技授業 い → 戻 |