委員会も三度目で 罠の少ない道を通りながら医務室へ向かっていると、手を引く三反田が私になぜ、と質問してきた その答えは、不運委員だからに他ならないのだけれど 私は私自身はそうだと思わないがと前置きをした 「保健委員はね、不運な生徒がなるものだと言われているんだ」 「不運・・・?じゃあ、僕も不運だからってことですか」 三反田が顔を下げて、手を握る力が少しだけ強くなった 私は三反田の頭をぽすりと撫でる そして顔を上げなさい、と声をかけた 顔を上げた三反田は涙目で、私はその目尻に浮かぶ涙を拭った 「卒業していった先輩に、"この手は人を助けられる手だ"と言っていた人が居たよ」 保健委員はだれよりも死に近い場所にいる 怪我をして、助からない人も居た 私は下級生だからと手伝わせてはもらえなかったけれど きっと年を重ねる毎に、死を間近に感じるのだろう 「人を助けられる手・・・」 自分の手を見て、そう呟いた三反田 私は再び手を引いて歩き始めた 「不運かもしれない、でも、私たちは人を助けられる、助けたら、ありがとうと感謝されるだろう?他はどうだか知らないけれど、私はそれだけで幸せになれるよ」 軽い幸せだけれど、と付け加えれば、三反田は、小さくても重ねれば大きくなります、と言ってくれた その言葉に、私はありがとうと告げて笑った ――――― 「先輩、連れてきました」 「遅かったな」 「遥人くんもついに罠に引っかかった?」 座ってお茶を飲んでいた二人の先輩の元に、カチコチに固まっている三反田を座らせながら、伊作先輩に、引っかかるわけないでしょうと返しておいた 伊作先輩はなんだーと呟いており、表情も少し面白くなさそうで ・・・そんなに伊作先輩は私に罠に落ちて欲しいのだろうか 私も気がつかなければ、蓮や藍が教えてくれたりするけれど、それもなければ落ちるのだけれど 「伊作先輩は私に落ちて欲しいんですか?」 「だって遥人だけ不運じゃないじゃないか」 酷いよ!遥人だって保健委員会なのにーとぶーぶーと言う伊作先輩 まあ、保健委員一の不運小僧と名高い伊作先輩だからこそ、思うところがあるのかもしれないが・・・ しかし3年目だし、いまさらの様な気もする 私と伊作先輩、性格には伊作先輩を夏目先輩が止めると、自己紹介するか、と話を切り出した 「俺は夏目団吉、5年い組だ。今年から委員長を勤めることになった。よろしくな」 「僕は善法寺伊作、4年は組だよ。よろしくね」 「私は先ほども言ったが、3年い組の御門遥人だ。よろしく頼むよ」 私たちが各々に自己紹介をすると、どうにか覚えようとして覚えられずにあわあわとしている三反田の姿 それを見て、伊作先輩が一気に覚えないで、徐々に覚えていけばいいと告げれば、すみませんと困った顔をして謝った 夏目先輩は気にするな、と笑って、名前は?と聞くと、三反田は慌てたように姿勢を正す 「ぼ、僕は1年は組の三反田数馬です、よろしくお願いします!」 「数馬だな、よろしく」 ばっと頭を下げてその勢いで頭をぶつけた三反田に、夏目先輩がこの委員会らしいなぁと笑って、業務を教えるな、と説明を始めた 委員会も3度目で 戻 |