君は私のもの 忍術学園に帰った後、今までは密やかに行われていた三郎の甘えたは、正式に婚約が決まってから見境無くなっていた 「二葉!」 「はいはい、私はここにいますよ、三郎」 昼の鐘が鳴って、遠いだろう食堂に一番に駆けてくると、私の名前を呼んでがばりとくっついてきた 私は仕方ないな、と言った風に、三郎の頭をぽんぽんと撫でる 「うぅ・・・辛かった・・・。授業が終わるのを今か今かとまっていたんだぞ」 「大げさですねぇ、三郎は・・・。授業の間くらい我慢しなさい・・・」 ぺしりと軽く頭をはたけば、大袈裟に痛そうにする三郎 そんなに大げさにする必要もないでしょうに・・・と思いながらも、口はすらすらとそれは悪かったですね、と言葉を述べていた そこに近づいてくる2つの気配 雷蔵くんだろうか? ならばもう一つは竹谷くんなのだろう 昼時なのだから、 まぁ来ても何らおかしくはないのだが・・・ 「三郎このやろぉぉ!置いていくなよ!」 「まあまあ、ハチ、落ち着いて。三郎だから仕方ないよ、二葉さん大好きだし」 「それでも限度ってモンがあるだろ!」 食堂に来て三郎を見つけるなりそういった竹谷くんに、雷蔵くんが苦笑してなだめる そんな二人の光景に、私はくすりと笑みをもらした しかし、そんな私にすねたのか、三郎がぎゅっと抱きついてくる腕の力を強くしてくる 私はそんな三郎をなだめるように頭をなでた 「・・・私を子ども扱いする二葉は嫌いだ」 「おやおや、では私は鉢屋ではなくなってしまいますね。どうしましょうか雷蔵くん」 「うん?じゃあ三郎、僕が二葉さんもらっていい?」 すねてふいっとくっつきながらも器用に顔を背けた三郎に、私はからかうようにそういって雷蔵くんに話をふった すると雷蔵くんはにこにこといつものように笑ったまま、さらりと私に返してきた それに固まったのはもちろん三郎なのだけれど、そこに偶然来て固まってしまった久々知くんと尾浜くんが見えた 「三郎って意外と子供っぽくて二葉さん大変そうだもんね」 「え、ちょっとまてよ雷蔵、何がどうしてそうなったんだ・・・?」 「すごーく三つ巴?むしろ三角関係?え?なんでなんでー?」 にこにこと毒・・・といえばいいのだろうか、とにかく三郎って大変だよね?と笑ったまま話す雷蔵くんの姿に、久々知くんと尾浜くんは目を丸くしながら質問してきた その二人に、気まずそうに居た竹谷くんがこっちこいこっちと手でちょいちょいと招く それを見た二人は竹谷くんのところに行き、事情を説明されている 「ら、雷蔵・・・それ本気で言ってるのか・・・?」 「僕、嘘って言ったことあったっけ?」 「あるな!」 雷蔵くんと三郎が口げんかを始めた ・・・といっても、一方的に三郎が声を上げているだけというか、それも私にくっつきながらであるために格好がつかないが しかし内容が買ってきたお菓子を食べた食べてないだのとなにやらかわいらしい ちなみに竹谷くん、久々知くん、尾浜くんは傍観を決めたらしい こちらには口を出さず、ちゃっかり席で昼食を食べながら成り行きを見守っている 今日の定食、片方はメインが揚げだし豆腐だったはずなので、久々知くんがせっついたのだろうか どちらにせよ、きっとそれは賢明な判断だろう そんなことを考えながら、成り行きを見守ってやると、三郎が私から手を離した 「二葉は私のなんだからな!」 そう三郎は言い放つと、私の手を引いて体制を崩し、唇に触れるだけのキスをした 視界の端で、うわぁという顔をした三人の姿が見えた 雷蔵は三郎の行動と言葉に、きょとんとすると、一言言った 「うん、知ってるよ?」 じゃあ何でそんな言い争ったし!と横から突込みが聞こえたが、どうやら流すらしい 特に反応は無くて、宥めている久々知くんの声が聞こえた 「とりあえず、三郎、結婚式は呼んでね?」 「・・・!もちろんだっ!」 にこーっと笑っていった雷蔵くんに、三郎は嬉しそうに答えた それにしても、やられっぱなしというのもなんだかな・・・ 私は雷蔵くんに気が行っている三郎の手を引っ張って体制を崩してやる 今度は私から三郎の唇に軽く触れた そして三郎を見ながらにっこり笑た 「三郎も、私のですからね?」 言い放った私は、きっとすがすがしい顔をしていたことだろう 君は私のもの 戻 |