肆 闇にまぎれた後 私は依頼主に髪飾りを渡し、報酬を貰うとさっさとお暇した 私としては、必要ない人にかかわると碌なことがないと知っているからね ・・・あぁ、久しぶりに三郎に会いたいな 今は・・・きっと忍術学園か 私はふっと口元に笑みを浮かべると、地を蹴った 数日後 私は近畿の山奥にある忍術学園に来ていた 「懐かしいな・・・5年経つのか・・・」 先生方は変わっていないだろうか? 三郎は元気かな きっとたずねていったら驚くのだろう それとも、忘れられてしまったかな それは寂しいな、けれど置いてきぼりにしたのは私だし、仕方がないか ふふ、と笑いながら、私は手土産を持った手とは反対の手で、学園の門を叩いた はーいという声とともにひょこりと顔を出したのは男の子だった こちらを見て、お客様ですかー?と聞いてくる 「学園長先生にお会いしたいのですが、よろしいですか?」 「はーい、では入門表にサインをお願いしまーす!」 渡された筆でサイドワインダーに挟まれた入門表に名前を書き込む 最初にこれを見た時は、なぜサイドワインダーなんてものが室町時代にあるのかと驚いていたな・・・懐かしい思い出だ 書き終わると、彼に向けてサイドワインダーを返す その名前を見て、彼はあれ、と声を上げた 「鉢屋さんっていうんですかー、5年生の鉢屋くんと同じ苗字なんですね」 「それはもしかしなくても、鉢屋三郎ですか?」 「そうですよー、とっても変装が上手い子で・・・」 「そうですか・・・ふふ」 どうやら立派に成長しているようで何よりだ 私は事務員の彼に学園長の庵まで案内をしてもらった 小松田くん(案内してもらう途中で教えてもらった)が障子越しに、中に声をかけた 「学園長にお客様です」 「誰じゃ?」 「お久しぶりです、学園長先生、鉢屋二葉でございます」 「鉢屋・・・二葉じゃと」 すぱーんと音を立てて障子が開かれる その場所には、学園長先生とヘムヘムが立っていた 「お久しぶりです、学園長先生」 「久しぶりじゃのう、二葉、入りなさい。ヘムヘム、お茶を頼む」 「ヘム!」 小松田くんにありがとうと言ってから、私は学園長先生の庵に入った 久しぶりの母校に → 戻 |