伍捌 side:三郎 歩けない二葉を抱き上げて、私は立ち上がった 二葉を襲っていた男には容赦なく殺気を送る だって、二葉を襲うとか、万死に値するだろ 私だってそんな鬱血痕つけたことないのに! 腕の中には小さく震える体 抱き上げた体は軽くて、やっぱり女なのだと思わせる 自分の手の中にこの重さがあるだけで、私の気持ちはこんなにも変わる 「三郎、どこいくんですか・・・というより、下ろしてください・・・」 少々顔を赤らめてそういう二葉に、私は機嫌良く嫌だと返して、構わず歩いた そうしてついたのは父上と母上が居る部屋 行儀が悪いと分かっていながら、私は足でスパンっと障子を開けた 「三郎?・・・どうして二葉を抱えてるんだ・・・」 「父上、私二葉意外と結婚する気ありません。むしろさせてくれなかったら二葉と鉢屋の家でてく」 父上の言葉にきっぱりと返すと、横にいた母上が腰を浮かせて叫んだ 「何を血迷ったことを・・・!あなたと二葉は姉弟なのですよ!」 「義理のでしょう?血がつながっていないなら問題ないはずです」 母上が叫んだ言葉に、こともなげに返せば、母上はなにも返せないのか唇を噛んだ 「三郎、二葉は義理と言えど姉だ。分かっているのか?」 「分かってます。でも私は二葉以外を妻にしないだろうし、するつもりもありません」 「ふむ・・・まぁ、いいだろう」 父上の言葉に慌てたのは母上だ ちなみに二葉は口を出すのは無駄だと悟ったのか、おとなしく成り行きを見守っている 「あなた・・・!二葉はお「椿」っ!」 父上が母上の言葉を遮った 二葉が何だというのだろう まぁ、二葉なら愛する自信はあるけど 「三郎、私はお前が二葉を貰いたいと言うのには反対せん。むしろその方が二葉も遠慮することなく鉢屋にいれるだろうからな」 「父上・・・」 二葉がすこし驚いたように呟くと、父上は笑いながらそれにな、と続けた 「強姦をするような奴に渡す娘は居ないさ、なぁ、椿?」 「っ!」 母上はぎりりと拳を握り、唇を噛んだ 内外何れも厳しくあれ → 戻 |