肆参 side:三郎 くのたまの一人、同じ学年で久々知の幼馴染 その位置に居るその少女は、あの女の一番の被害者だった そして少女は今、くのたまとしての表情(カオ)でその木の下にたたずんでいる 私は綾部と伊賀崎を連れて彼女の前に止まった 「まだ喋れることは秘密ですよ?」 そう言ったのは、声が出ないはずの彼女 私が驚けば、悪戯が成功したかのように笑って、と口に人差し指を立てた その表情は確かに彼女自身のいつもの表情であったが、雰囲気はくのたまのものであると感じられた 私達が彼女の喋れることを秘密にすることに頷くのを確認してから、さて、と彼女は本題に入るべくそう言った 「私たちは彼女を学園の敵と判断しました。決定的だったのは私が死にかけたことですけど・・・」 そういう彼女は完治をしたのか、ごく普通であった まあ、完治するまであの善法寺先輩が医務室から出してくれるとも思えないから、もう大丈夫なのだろうが 「あの時の怪我、大丈夫ですか?」 「大丈夫、ちょっと跡が残る程度です」 伊賀崎がそう聞けば、目の前彼女は心配してくれてありがとうございますと笑った そうして崩した表情を、すぐにくの一としての表情に戻して、彼女は言った 「私が彼女と共にお茶をするとき、彼女が入れたお茶の、私の方だけに毒を仕込みます・・・その毒と解毒薬を伊賀崎くんに、最後にはいあがってくることが出来ないような深い穴を裏々々々々山に、綾部くんに掘ってもらいたいのです」 彼女の言葉に、伊賀崎はすぐに是と頷き、綾部は己の蛸壷にあの女を入れたくないのか、少しだけ渋ったがあの女が居なくなるためならば、と了承した 私の役目を聞けば、あの女と一緒に居て、なおかつ彼女とも一緒に居ておかしくない人物だからという理由で、街に出させるときに一緒に行けばいいらしい そのときに、また保健室の住人になってるかもしれないという彼女の言葉には、さすがに苦笑をもらしたが 毒については、最近発見されたものを使うらしい そういえば二葉が、最近新しい毒を見つけたと解毒薬を作っていた気がする 彼女がそれを知る理由は、やはりあの女がぺろんと言ったかららしい ・・・本当に、邪魔でしかないな、あの女 そして彼女は最後に言った 「一度目、私が死にかけたときは、事故でもいいかもしれません。けれど、二度目、私が飲んだお茶だけに毒が入っていて、それが彼女と他数人しか知らない毒なら・・・」 彼女に疑問の目を向けるのも、当然ですよね? そういって笑う彼女は、普段穏健であるといわれていても、確かにくの一であった 宵闇に笑う → 戻 |