参玖 p.46後 p.47 「突然なんじゃが・・・」 そういって切り出されたのは、ある城の潜入忍務 期間は約15日ほどで、うまくいけば10日で終えることができるだろう内容だった 私はそれを是と言い、学園をしばらく離れる事となった 「すみません、お手伝いとしてきたというのに・・・」 「いいのよ、二葉くんが優秀だって言うのは前から知ってたもの。その代わり、ちゃんと帰ってきてまた手伝って頂戴ね」 「はい、もちろんです」 おばちゃんに伝えれば、苦笑しながらも納得してくれて 学園は6年生の卒業試験も近づいて慌しいため、人員が裂けないがゆえの選択であることは私も分かっているし、納得もしているが、やはり一般人であるおばちゃんに対しては申し訳なく感じられた そして、私がもう1つ抱えた不安 「っ俺を置いて行かないで・・・二葉・・・」 「・・・三郎・・・」 しばらくの間離れるといえば、子どものようにぎゅぅっとしがみついて離れない 5年間を共に過ごし、支えあってきた友と居られないが故に不安定な状態の三郎 それは三郎だけではなくて、最近交流が増えた4年の綾部くんや3年の伊賀崎くんも同じだった 三郎がきつく私を離すまいとするがゆえに小さくではあれど服を引っ張られる感覚、それは綾部くんのもので 伊賀崎くんは一歩はなれた場所から私をじぃっと見つめている 「二葉さん・・・」 言葉数少なく、やはり不安な表情なのは3人に共通していて 私はふっと息を吐いて苦笑いを浮かべると、伊賀崎くんを手招きした そして三人をひとまとめにして抱きしめる それは母親が小さな子どもを数人抱きしめるように 「不安になることはありません。あなた達の居るこの学園に、私がもどってこないと思いますか?」 「今は思わない」 「二葉さんは僕達を置いていかないと信じてます」 「・・・でも、やっぱり不安なものは不安なんです」 抱える不安は皆一緒 そんな雰囲気をまとう三人に、私はやっぱり苦笑して そうして提示した 「くのたま達は皆私達のみかたですよ」 「二葉さんって、色男・・・?」 「違いますよ・・・」 綾部くんがまったく関係の無いことを言ったので、私はちょっとだけ呆れながらもすぐに否定した 色男以前に、私は男ではなく女なので、"色男"にはなれないが まあ、それについて綾部くんは知らないはずだから、仕方ないといえば仕方ない 「くのたまは恋人が、好きな人が、"彼女"に夢中で泣く人が多い・・・。その分だけ恨みもあるということですよ」 「僕らと同じということですね」 「はい、その通りです」 もし気になるのでしたら彼女達の行動を気にしてみるといいかもしれませんよ、と助言をして、私は三人が満足するまでずっとそうして三人のそばに居た すぅ、と寝息を立てる3人に布団をかけてから、私は黒い忍装束を身に着け静かに学園を後にした それは大きく廻り出す少しだけ前 → 戻 |