参捌 p.45後 p.46 side:孫兵 ジュンコが居なくなって、誰かに噛みついて処分されてしまうのではないかと気が気でなかった ジュンコも含めて、動物たちは特にあの天女って人が嫌いだから ジュンコが嫌いなあの女は、もちろん僕も嫌いだけど、そんな女のためにジュンコを危険な目に遭わせたくない そう思って、僕は焦った 「ジュンコー!ジュンコーっ!!」 見つからない もしかして、あの女の元に行ってしまったんだろうか? そう思うと涙が出そうになった 「ジュンコーっ!!」 叫びながら角をまがると、そこには鉢屋二葉さんと、膝に頭を乗せて眠る鉢屋三郎先輩、それに鉢屋さんの背にもたれる綾部喜八郎先輩がいた 「伊賀崎くん」 「っはい・・・あ、ジュンコ!」 名前を呼ばれて、鉢屋さんを見ると、彼は自分の首あたりを指差して、その指差す先を見れば、ジュンコがその首に巻き付いていた 名を呼べば、こちらを見てからしゅるりとその首から降りてきた 「ジュンコ、良かった・・・」 いつものように首に巻き付けてそう言えば、鉢屋さんから声をかけられた 「良い子ですね、その子」 「・・・気持ち悪くないんですか?」 「何故気持ち悪いと思わないといけないのですか?」 そうやって仲の良いことは、良いことはあれど悪いことは無いじゃないですか、と笑う鉢屋さんは普通で、毒虫や毒蛇を全く怖がっていなかった 教師でさえ、たまに僕をどう扱って良いのかわからないときがあるようなのに 「・・・たまに、来ても良いですか?」 「居ないときもありますが、それでも良いのなら」 いつ来ても構いませんよ、と笑う鉢屋さんは、ほかの人間とは違って見えた 毒蛇のもたらす偶然 → 戻 |