もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

肆拾








なにが起きている?
私の一言はそれに尽きる

帰ってきてみればプロの忍とおぼしき気配がいくつも学園の中にある
私は舌打ちして、武器を取った








一人、また一人
赤を散らして息絶える
その先に、色が見えた
紫の服を来た4年生
その背後には下級生だろう気配が固まっていた
すでに限界が近いのだろうことは見て容易く分かった

黒い装束に身を包み、闇に同化した、紫を狙うその後ろを見つける
私は静かに後ろに回ると、首を跳ねた

ごとり、と首の落ちる音


「っだれだ!」


物音に、4年生達から殺気が飛ぶ
私はついでに見つけたもう一人に猛毒を塗った手裏剣を飛ばすと、刺さった影はどさりと落ちた
その音を確認してから、私は4年生の前にその姿を現した


「物騒な事になってますが、皆さん無事ですか?」
「二葉さんっ!?」


名前を呼ばれたので、はい、そうですよ、と笑いかけた時、背後でまた一人、どさりと地面に落ちる音がした


「じゃあ、今の音・・・」
「殺ったのは私ですよ。今のでこの周辺に感じる気配は無くなりましたから、まあしばらくはいないと思いますよ」


私がそういえば、斉藤くんがへなりと座った
その様子に、田村くんがすこし声を荒げる
そんな様子に苦笑をこぼしながら、一番酷そうであるくのたまの領域に目を向けた
私のその様子に、綾部くんが、天女サマが向こうにいるんです、と小さな声で教えてくれた
私はありがとうの意味を込めて、頭を撫でると、無表情に喜びの気配が混じった
羨ましそうな視線をよこす平くんにもぽん、と手を置いて、私は4年生達に告げた


「私はくのたま長屋へ向かいます。まだ全て退けたわけではないのですから、もうすこし、がんばって下さい」
「はいっ」


4年生がみな声を合わせて是と返したのに、私は笑みで返すと、その場を後にした





学び舎に仇をなす








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