壱 side:三郎 「あにうえ・・・?」 あにうえがいない おれがわるいこだから?あにうえはあいそをつかしてしまった? 「あにうえ・・・あにうえぇーっ!」 やしきの中をあるきながら、おれはあにうえをよんだ でもきてくれたのは、いちばんうえのあにうえで 「三郎・・・二葉は居ない。二葉は父上に許可を貰って、しばらく己の腕を磨くために屋敷を離れたんだ。お前の事はとても心配していたけれど、三郎は自慢の弟だから大丈夫だと思ってお前を残していったんだ」 「いつきあにうえ・・・おれがみすてられたわけじゃないの?」 「お前を二葉が嫌うと思うか?」 「おもわない!」 いつきあにうえはわらって、「なら二葉を信じれるな?」と言った おれは首をなんどもふって、こたえた ――――― 「二葉兄上っ!・・・・・・・あ・・・・・」 ばさり、と音を立てて飛び起きると、見慣れた部屋 その様子に、私はため息をついた 「夢、か・・・」 ずいぶんと懐かしい夢を見た アレは・・・二葉兄上が家を出た次の日だったか? 確か私が10歳になって、それほど時間は経っていなかった気がする 今の私と同じように忍術学園に通っていた二葉兄上は、なかなか帰ってこなくて、でも帰ってきたときは私を思いっきり甘やかしてくれていた それが、卒業してすぐに二葉兄上は家を出てしまったのだ 私は厳しくも優しい二葉兄上が大好きだった だった、というよりも、今もそうだ けれど、記憶の中の二葉兄上の顔は既に薄れてしまい、おぼろげにしか覚えていない 今、二葉兄上はどこに居るのだろうか・・・ 空はキミへ続くのだろうか → 戻 |