参参 学園はおかしい そういって泣いた三郎は、泣きつかれて眠ってしまった 「・・・少なくとも、私は、違うと思いますがね」 おかしいのは学園ではなくて、天女と呼ばれた彼女だろう 未来から来たことは分かる、頭がアレだけ軽い女なんてこの室町に居ない 明らかに浮世離れしている それを容認する生徒は当てられたのかなんなのか分からないが 少なくとも、教師達が彼女をただ理由もなくおいているとは思えなかった 「それにしても、男達がこぞって天女に落ちるということはまずありえないことですね・・・人それぞれに好きな女のタイプは違うというのに」 ふわふわとしたヘアピースを撫でながら呟いた そういえば、男達が落ちているならば、女達はどうなのだろうか ふと桃色の制服に身を包んだ少女を思い出した 上級生のくのたまは忍たまよりも圧倒的に少ない人数しか残らない なぜならば彼女達は殆どが行儀見習いとしてこの学園に来るからだ しかし、私が在籍していた頃に一年生だったくのたまの少女達は、なかなかに素質があった そのため、今年は2人が6年生として在籍していた 彼女たちは私のことを覚えていたし、仲が悪かったわけではないから聞きにいっても大丈夫だろう そうめどをつけ、私は布団を敷いて三郎を寝かせた 「しばらくはつらい日々が続くだろうけれど、どうか乗り越えてくださいよ、三郎・・・」 後日、私はくのたま長屋に居た 「なんだかんだと、あまりゆっくり話す機会はありませんでしたが、元気でしたか?苑歌、千鶴」 「えぇ、先輩もお変わりないようで」 「なによりですわ」 穏やかな言葉であるにもかかわらず、その空気は冷たい むしろ、くのたま達が気が立っているといっても過言ではないだろう 思った以上の被害に、小さくため息をついた 「どうやらこちらも被害甚大なようで・・・」 「多くの後輩が泣きました・・・今はまだ、私達も見極めるべきときだとそう言って後輩を宥めてはおりますが・・・」 「上級生、最高学年という地位がなければきっと早々に手を出していたと思いますよ」 さすが6年生、感情に身を任せることはないということだ 立派になったものだと少し目を細める 「たとえ天女と騒がれようと、所詮はただの人・・・然るべき時は私も協力しましょう」 「天才と謳われた先輩が味方してくれるだなんて」 「とても心強く思いますわ」 密約を交わす → 戻 |