もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

弐捌




side:少女


鼻歌を歌いながら、私は最近はまっている漫画のドリームサイトを巡っていた
最近のお気に入りは落乱って言われてる漫画、要するに忍たまなんだけど、上級生がかっこよくって!
だから、みんなだぁいすき!
落乱ってみんなカッコいいから愛されるだけの夢を探すの!



私は夢を見るのがすきだった
血なまぐさいのは嫌だったから、絶対見なかったけれど、愛される夢が大好き
そんな私が今日も愛されるためにサイトを巡っていた、その途中の事


「・・・なんだか設定事項が多い気がする・・・?」


ヒロインのトリップ設定がやけに多いサイトを見つけた
詳細まで設定できるって、本当に至れり尽くせりだけど・・・


「ま、いっか♪」


私はあまり気にしないで、自分の好きな設定にして送信を押した
ワクワクとしながら画面を見ていたら、いきなりぷつんと画面が真っ暗になった
去年買ったばかりの新しいパソコンなのに・・・!


「・・・もぉーっ!いいや、知らないっ」


私はパソコンを強制終了して、ベットに寝転がった
するとすぐに睡魔が襲ってきて、私の意識は闇に落ちた



「・・・相変わらず人間は馬鹿だなァ」

「その人間を"物語"に落とす貴方はなんですか」

「馬鹿だから可愛いんだよ、死んでいく様を見るのも面白い」

「まったく・・・これで何度目ですか、その遊び・・・いい加減にしないと怒りますよ?」

「おお怖い・・・まあ、賽は投げられた、しばらくは退屈しないだろ」




「きゃぁぁぁっ!!!」


私は叫び声を上げる
風を切って落ちてる、そう思った私は途中で意識を失った



目を開ければ、茶色い天井
・・・あれぇ、私の部屋の天井って白なんだけど


「あ、気がついた?」
「えっ?」


緑色の服を着た、茶髪の青年(?)
・・・善法寺、伊作?


「空から落ちてきたんですよ」


ひょこりと顔を出したのは、井桁模様の水色の制服を着た少年
アニメの名前にもなっている、猪名寺乱太郎
・・・もしかして、私、本当のヒロインになれたの?



今宵も賽は投げられる








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