弐漆 渦中の戦場を伺う ・・・どうやら、双方実力が同じで、決着がつかないだけのようだ 下級生にとっては危ない場所だろう、4年以上ならこれくらいの戦場、問題なさそうだが まあ、近づかなければそこまで被害はなさそうである そこまで考えて、私は気配を感じて別の木に移った カカカ!という音と共に、先ほどまで居た場所にクナイが刺さる 「どこの手のものだ」 どこの手のものでもないんだがな、と思いながらも、私は何も言わずにただそいつを見た 実力は私よりも下だな・・・少し遊ぶか くつり、と笑う 「どこかと言われて、素直に応える忍がいるか」 言葉と共に、手裏剣を投げた カッと音を立て、木に突き刺さる だが、全てかわしたと思っていたのだろうそいつは、唐突に膝をついた おさえられた腕に刺さった手裏剣 一つは囮、私の狙いは着地点に投げた毒を塗った手裏剣だった 6年間、死に近い場所で多くを看取った 生かすには殺す技術が必要であり、毒を知らずして解毒はできない そう言う意味では、保健委員はきっと一番忍らしいのかもしれないな私はそう思いながら、動かない忍を担いだ 私は戦場から離れた場所に穴を掘り、それを埋めた 放置すれば面倒なことは分かっていたし、今回は毒を使ったから、動物たちには頼めなかったのだ 「ただ見に来ただけなのに、なんでこんな重労働しないといけないんだ・・・」 まあ、自業自得なのは分かっているのだが、それでもそんな言葉が口をついた 埋めた場所を簡単に踏み固める この場所はなかなか人が通らないはずだし、掘り返されることもないだろう 私はそう判断し、その場を去った ――――― side:曲者 「・・・なんだか面白い子がいるみたいだねぇ」 独り言がなければ気づかなかっただろう それほどに気配がなかった それにしても、それだけの手だれだというのに、こちらに気づかなかったのだろうか? 「ま、ばれたらばれたでマズイんだけどね」 またふらふらしてと怒られるかなーと思いながら、私は自分の城に足を向けた 闇夜に散らす → 戻 |