もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

弐伍







「さて、これで大体片付きましたかね」


あまりやらせると不運が不運を呼ぶという事態になりかねないから、と片付けは私が先陣をきることにして
他の子たちには簡単な片付けだったりをしてもらうこと半刻
もとの状態に片付けた医務室の中で、私はそういった


「わぁ、あっという間ですね」
「まあ、日常茶飯事でしたからね」


慣れるとそうなるものですよ、と返せば、みんなあははーと苦笑した
私は一年生二人の頭をなでると、立ち上がった
その様子に、他の面子は皆不思議そうな顔をする


「あぁ、そろそろ食堂の手伝いに行かないといけませんからね」
「あ、二葉先輩は食堂のお手伝いとして来たんでしたっけ」
「雑用もやりますけどね、主たる仕事はそうなります」


それでは、私はこれで。また食堂で会いましょうと笑えば、各々に送り出してくれた
今年の保健委員も皆優しい子ばかりのようだ
・・・残念ながら、私は優しくないけれど

そう思って、くすりと笑いをこぼした
さぁ、おばちゃんのもとへ向かわなければ








調理場へつくと、そこには身支度をして居るおばちゃんが居た


「おばちゃん」
「おや、二葉くん、帰ったんじゃなかったかい?」
「おばちゃんのお手伝いとして学園で働くことになりましたので、お手伝いに来ましたよ」


まあ、助かるわと笑うおばちゃん
私は喜んでもらえたようで何よりですよ、と返して、調理場へと入った
今日はいわしの柳川仕立てと肉じゃがだ

新鮮ないわしを三枚に下ろして、身の部分をパン粉をつけて油であげる
きっとあげたいわしはさくっとしたほうが美味しいんだろうが、作り置きしないと間に合わないことは分かっているので、だし汁にたまねぎを入れて煮ておいたところにフライを入れ、卵とじにしてしまう

あぁ、パン粉があるのは忍たまだから、ということで気にしないでくれ



丁度出来上がったかと言うころ、カーンという音が聞こえた
どうやら夕食の鐘をヘムヘムが鳴らしたらしい
おなかすいたーと口々にいいながら入ってくる生徒の注文を聞くおばちゃんを見ながら、私は言われた定食を用意して、いつものおのこしはゆるしませんよ、という言葉をかけるのだった



元保健委員会委員長+食堂=二葉お兄さん








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