もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

拾陸






「・・・で?」
「はい?」
「あにう・・・じゃなかった、姉上はここで寝るのか?」
「いけませんか?」


私がそういえば、三郎も不破くんも深くため息をついた
・・・別に気にしませんけどねぇ・・・


「そんなに気にするものですか?私は言ってはなんですが、女性には見えませんし」
「気持ち的には・・・」
「雷蔵に同意・・・」
「別に、5年間男と同じ部屋に居たわけですからなれてますけどねぇ」


そう呟けば、くわっ!と三郎が目を見開いた


「そうだ、姉上、6年間男とおんなじ部屋だったとか、襲われなかったのかっ?!」
「襲われるわけないじゃないですか、襲われてたら、私の代の卒業生は相当少ないことになってたんじゃないですかね」
「それは、どういうことですか・・・?」


不破くんの質問に、聞きたいですか?といえば、すこし、とかえってきた
ので、私は嬉々として話す


「私、在学中は保健委員会でして、6年間保健委員会を努め、委員長になったにもかかわらず不運じゃなかったんですよ」
「え、そうなんですか?それは凄い・・・」
「えぇ、なので、その立場を使ってですね、見た目がどうたらといって襲ってきたやつは新薬の実験台にしてあげますから、覚悟して襲いに来てくださいね、と。見事に来たやつ全員毒薬の実験台にしてあげましたが」
「「・・・・・・・・」」


おかげで誰も逆らう人はいなくなりましたね、とにこにこしながら話せば、三郎も不破くんもなんだか少し顔が青くなっていて
大丈夫ですか?と声をかければ首を縦に大きく振ったので、まあそういうなら、と気にしないで置いた


「で、二人もお風呂はまだなんでしょう?いってきてはどうですか?」
「あ、はい、そうします。ほら、三郎、行こう?」
「あぁ」


私は二人を送り出すと、立ち上がってシナ先生のもとへ向かった




―――――
side:シナ



ことり、と天板の外れる音がした
上を見上げれば、5年前まで見慣れていた顔


「シナ先生、お久しぶりです」
「あら、二葉さん、久しぶりね。確か学園に遊びに来てたんだったかしら?」
「えぇ、そのまま泊ることになりまして、くのたまのお風呂、借りても構いませんか?」
「構わないわ、ただ、平気だとは思うけれど気をつけてね」


いつかと変わらぬ笑みを浮かべた二葉さんは、分かっています、ありがとうございますと言って板を元に戻すと、気配は遠ざかっていった



お風呂だって一苦労

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