もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

拾肆







夕飯のピークも過ぎて、私は食堂の椅子に座るおばちゃんにお茶とご飯を持って行った


「悪いねえ」
「いえいえ、気にしないで下さい」


どうぞ、と差し出せば、ありがとうといっておばちゃんは箸をつける


「とっても美味しいわ、二葉くん、腕あげたわね」
「ありがとうございます、でもおばちゃんにはかないませんよ」
「お世辞言ってもなにもでないわよ」


お世辞ではありませんから、と返せば、私には勿体無い言葉ね、と苦笑された


「二葉くんは、何処で寝るの?」
「最初は泊まる気ありませんでしたから分かりませんね・・・まあ、いざとなれば何処でも寝れますし、あまり気にしないで下さい」


それはあんまり良くないと思うわよ、と困ったような顔でいうおばちゃんに、心配しないで下さいよ、と笑った


「たぶんそろそろ来るでしょうから」
「?どういうこ・・・「兄上っ、一緒に寝ようっ」あら」


食堂に来た三郎に、わからないという表情をしていたおばちゃんはなるほどねぇ、と呟いた


「不破くんにはちゃんと聞きましたか?」
「ちゃんと聞いた!」


尻尾が見えそうだ、なんて思いながら、私は偉いですね、といって三郎を撫でた
そしておばちゃんに向き直る


「食器や調理用具はあらかたかたしておきましたから」
「本当に助かったわ、ありがとう」
「どういたしまして」


そう会話して、三郎に行きましょうか、と言えば、三郎は頷いて私を引っ張った






宿泊先は?








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