捌 「雷蔵ー、三郎ー、どうかしたの・・・・・・か」 「雷蔵が3人だね」 「勘ちゃん、ひとりは三郎だろ」 気配が近づいてくると思っていると、ひょこりと部屋を覗き込んできたのは5年の制服を着た子で 不破くんの顔が3つあることに驚いているらしい 私は矢羽音を三郎に飛ばした (あれは三郎の友達ですね?名前は何と?) (ボサボサ頭が竹谷八左ヱ衛門、まつげの長いのが久々知兵助、にこにこしてるのが尾浜勘衛門です) (そう、ありがとう) 私は不破くんの顔のままにこりと笑った 「わ、久しぶりだな、3人に会うの」 「へ?」 「いやだな、僕のこと忘れちゃった?」 三者三様の表情 けれどその表情にある共通した感情は、驚愕と疑心 そんな三人に、不破くんの顔のままで私はふふと笑った 「うん、きちんと疑ってかかれていますね、いいことです」 そしてべりりと音を立てて皮をはがす そして、別の皮をかぶった私はにこにこと笑って頭を下げた 「義弟がお世話になっていますね、私は鉢屋二葉、鉢屋三郎の義兄です」 お見知り置きを、と言えば上がる声に、私は大成功ですね、と呟いた 「で、どうして三郎のお兄さんがここに?」 「それはかくかくしかじかですよ」 「なるほど」 ・・・おや?本当に通じたんですかね 大変だなぁ三郎、と言われながら、肩を叩かれる三郎を見て、私は通じたのか、と思いながら、久々知くんが持ってきてくれたお茶をすする 「三郎が元気そうで安心しましたよ。それに、良い友達に恵まれて・・・兄は嬉しく思いますよ」 そういって笑みを見せれば、4人は顔を見合わせて照れくさそうに笑った 「これで、いつ兄上が、私が、死んでも安泰ですね」 「兄上っ!?」 三郎が傷ついたような表情をした ・・・まぁ、いきなり兄がそんなこといったら驚きはするだろう けれど 「三郎、忍びである以上、常に私たちは死と隣り合わせです。いつまでも、私たちが居ると、思ってはいけませんよ」 ぽすり、と三郎の頭に手を当てた 「強くなりなさい、三郎」 その強さは誰のために → 戻 |