じゅうに 白い、伊作先輩の居た医務室を出て、私は当てもなく建物の中を歩いていました 本当に場違いな場所に来てしまったようで、浮かんでくるのはただ戻りたいという感情だけ 「どうして・・・私はここに居るんでしょう・・・」 あのときに、死んでいれば、こんな気持ちにならなくて済んだのでしょうか? こんな風に、"綺麗"な場所に、居なくても良かったのでしょうか 今の、私には、すべての人が綺麗に見えて仕方がありません 仕事として生き残るために、人を殺す私 そんな私が今の伊作先輩に近づいていいのでしょうか 私は、伊作先輩を汚してしまいそうで怖い 今の伊作先輩は、人を殺したことのない真っ白な手を持って、人を助けています それは、三反田くんも、川西くんも、鶴町くんも、猪名寺くんも一緒です たとえ幼馴染として幼少を共に過ごした兵ちゃんでさえ、今は血を知らない手 記憶を持っていたとしても、私と彼らでは違うと、私はどこかで線を引いてしまうのです ・・・私は、いつからこんなに臆病になったのでしょうか 私は思い気持ちを吐き出すようにため息をつきましたいつの間にかとまっていた足を動かし始めました ぺたぺたと音を立てる裸足のままの私 角を曲がろうとしたとき、とたとたとした音が、響くのが聞こえました どこか隠れられるところを、と思っても、天井は板ではない、よく分からないもので天井裏というものはなさそうだし、隠れるような隙間や障害物もありません 仕方ない、と私はそのままそこにたたずむ事にしました ふっと外を覗いたときに見えた透明なガラスの向こう側は、私の心とは反比例した青い空が広がるだけでした 私はどうしてここに居る? → 戻 |