じゅう しばらくは学園(今では大川学園と言うそうです)にお世話になることになりました 私は、この平成と呼ばれる時代を何一つ知らないし、何より、私を放って置くことはできないと、伊作先輩をはじめとするたくさんの方々が先生に言ってくださったのだそうです それを聞いて、私は思わずぽろりと涙をこぼしました それを見ていた、偶々当番だった三反田くんと西川くんは慌ててしまったのですけれど 「朱が、学園に留まれるようになって何よりだよ」 「本当に、皆さんのおかげです。なんてお礼を言ったらいいのか・・・」 「そんなの気にしないでください!だって一ツ瀬先輩は学園の一員なんですから!」 「乱太郎くん・・・」 にこにこと言い放った乱太郎くんの言葉は、思いのほか嬉しくて・・・ 私は照れ隠しのように、乱太郎くんを撫でました 「もう少し安静にしてればもう退院していいよ。・・・でも、傷は、残っちゃうかな・・・」 ごめんね、と悲しそうな顔をした伊作先輩に、私は気にしないでください、と返しました 私は"忍"なのです、女性である前に、子どもである前に、くの一なのですから たとえ、今のこの時代に、私のような人殺しが必要ないのだとしても・・・ 場違いなその場所 → 戻 |