もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

よん






ふと空を見上げた
空は雲一つなくて、それは遠い過去にその死を告げられたあの日のようで
声にならない声で幼なじみの名前を呟いた



今思えば、俺が朱に抱いていた思いは、友情ではなかった
幼い頃から側に居すぎて、気づくことができずに居て
気がつくことができたのは、朱を失った後だけれど


「・・・朱・・・」


今度は掠れるような声だった

どうして・・・

居ない姿を探していた
あの時の朱は、外からきた養子の子だったけど、どこかで会えるんじゃないかと、そう思っていたのに
待っていたのは、朱はどこにも居ない事実だったんだ




居ない姿を探す









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