もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

さん






僕は朱にお帰りと言えないまま学園を卒業して
僕は忍びとしては幸せな死様で、死んだ


時とはいたずらなもので
僕は室町の時代を生きた当時の記憶を持って、平成の世に生まれた
大川学園という名前の学校に入学して、同じように室町の記憶を持った仲間達と再会した
その中には朱と幼馴染であった久々知の姿もあった



けれど、そこに、朱の姿はなかった



「伊作、一ツ瀬が忘れられないのはわかるが・・・」
「未練がましいぞ、そろそろ諦めたらどうだ」
「文次郎・・・てめぇ・・・っ!そんな言い方はないだろう!」
「いさっくん・・・」
「・・・・・・時には、諦めることも必要だ・・・・」



友人達は、僕に諦めろと、そう言外に言うけれど
僕は朱のことを諦められなかった
だから、そういう言葉が出るたびに、僕は返した




「嫌だよ、僕が僕である限り、朱以外を好きになるつもりも愛するつもりもない」



恋焦がれる姿を探し








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