もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ




私はいつかのように満身創痍で、精神的にも限界でした
少し前のあの時のように、私と共に戦う人もいなければ、邪魔する人もいないのは、あの時と違いましたけれど

どうにか残り一人まで殺りつくし、あと一歩というところ
私は血で滑りそうになる十手を構え、最後の一人に立ち向かいました


「貴様なぞ・・・道連れだ・・・!!」


ぎらぎらとした瞳が私を捕らえます
けれどそれは私も同じでした
私はふっと笑みを浮かべます


「もとよりそれは同じことです」


そうして互いに互いが止めを刺そうと動いたとき
晴天で、雨など降る様子もなかった空から、雷が落ち、私たちの視界を真っ白に染め上げました



そうして訪れるのは浮遊感
私が感じ取れたのは、そこまででした






そうして私は消え去った








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