もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

いち



「・・・っ!」


囲まれてしまいましたか―――
本当は簡単な忍務のはずでした
しかし、調べた情報が既に古かったのか、それとも漏れていたのか・・・その真偽の程はわかりませんが、その忍務は既に、私一人の手には負えないようなものだったのです

既に無事に忍術学園に帰れるとは思えませんでした
良くて、相打ち・・・・悪くて、捕まって尋問され、死を迎えるか
学園を出るときに送り出してくれた、恋人の・・・伊作先輩の姿が脳裏に浮かびました


―――ごめんなさい、私は、先に逝きそうです


その瞳に決意の光を宿し、私は己の武器である改良を加えた十手を袖から出し、構えた






覚悟の上に







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